『市場の構造』を考察してみる。 [よもやま話]

マーケティングの基本であり、根本である『市場を知り』『顧客を理解する』 これ本当に難しいですね。

セグメンテーションして、
ターゲッティング、
そして自ら(の製品、サービス、ブランド)をポジショニングする。

そのためには、やはり『市場を知り』『顧客を理解する』が前提条件になるわけですが
このあたりがウヤムヤのまま、進めてしまっていることって本当に多いです。

市場も顧客も変化し続けるのが世の常、だとすれば
まあ、分かった。掴めた。と思うこと自体、欺瞞なのかもしれません。

でも、諦めてはいけないコト。ぶれない、明確なコンセプトのもとコトを進めていかないと
組織としてメッセージ性のあるモノ、コトが提供できないですもんね。

極論を言うと、間違ってていてもいいので、それらしい論理は持っていたいところです。

そのためには、拠り所に出来るロジック、イメージに頼るコトにしています。

で、今回のテーマ『市場の構造』を考察する。に話しを移していこうと思います。

市場の構造を捉えていく上で、僕は次の3つの側面からイメージ*するようにしています。
(*考えると言うよりも、イメージが持てる、共有できることを大事にしています。)

⑴ヒエラルキー(ここでは、上下関係:質、濃密さ、金額などを縦軸にお互いの影響やステップアップ過程をイメージします。)

⑵普及のプロセス(時間軸:⑴に似ています。時間の経過によって主役となるセグメントが変わる様子をイメージします。)
大抵の場合、僕にはジェフリームーアーのキャズム理論がしっくりきます。〔1〕
第44回 キャズム(セグメンテーション&市場開拓)(後半)ジェフリームーア  .jpg

⑶産業のマッピング(タイプ別に区分、各タイプのセグメント毎の特徴と規模を捉えることで、業界全体をイメージするのが目的です)

縦軸と横軸に何を当てるか。そこがポイントですが、プロの業界を意識するのであればプロが常に意識している(拘束されている)QCDの何れかをあてがうと良さそうです。


Q:Quality(質)納品の際に求められる品質
C:Cost(予算)かけられる予算金額
D:Delivery(納期)

プロがプロたる所以は、この3つにある。この中の一つでも制約が無い場合は、アマチュアの範疇に入りそうです。たとえ、質が高くとも、納期、予算度返し。それは、プロの仕事では無い。という理解です。

QCDの3つは密接に絡み合うので、3つのうちの2つをX軸、もしくはY軸に併記、残る1項目をもう一つの軸にすれば良いかと思います。

以上⑴〜⑶を市場データ(販売データ、ユーザー人口などマクロ)や ユーザーヒアリング(ペルソナ的なまとめ)などによる『そんな気がする』と言うレベルに仕上げたら、セグメンテーション完了。あとは、ターゲティング(価値提供する相手を)定めて、ポジショニング(提供する価値を決める)する
と言う手筈。

もちろん、はじめに作ってみた⑴〜⑶に誤りがあると判断した場合は、柔軟にそれを見直し修正を繰り返すことはもちろんのことですね。

と、簡単そうに書いてきましたが結構大変です。というのは冒頭で申し上げた通りです。


例えば、ある業界(産業)に関する各の理解を会話している際に
『(この人たち、)見えていないな』と思うことがあります。

⑴ヒエラルキー(構造)に関して、考察しておきたいと思います。

このヒエラルキー、多くの人たちが当然のようにこの構造をピラミッドとして捉えています。

確かにトッププロがいて、プロがいて、ハイアマチュア、アマチュア、初級者たち。上に行けば行くほど規模が小さくなる。という一つのピラミッドとして捉えています。
確かに構造がシンプルなアマチュア(コンシューマー)をターゲットとする場合はそれで十分でしょう。

しかし、プロ、それもその業界のトッププロを相手にビジネスを考える上ではそれではマズイ。と思うのです。

例えるならば、料理人の世界。
和食もあれば、中華、洋食もある。フランス料理もあれば、イタリア料理もある。
各の頂点に立つ人たちは、決して同じヒエラルキーには存在しないはずです。
求められる技量も違えば、使う道具も全く違う。

反面、洋食屋さんはあらゆる分野の料理をメニューにしていたりします。

ここで、ハイライトしておきたいのは、外食産業は決して一つのヒエラルキーではない。ということです。単純なピラミッド構造ではないことを心得ておくべき。ということです。

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根っこの部分は、同じでも頂点に向かうに従って別々の頂点に向かって伸びていくという構造。
料理人に求められる資質も異なれば、テクニックや道具も異なります。

つまり、こういうイメージです。

構造.jpg

結果、彼らが選ぶ道具も細分化されます。
料理人の場合で言えば、たとえば包丁。

料理のジャンルでも分かれマス。[2]
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洋包丁だけでもプロになると多種多様の包丁を必要とします。
tk-prol.jpg

つまり、ジャンルが異なれば必要とされる機能が違う。どちらがより高等な技能だったり、道具だったりすることは無く、そのジャンルの中でもっともハイレベルな道具(フラッグシップは、カテゴリー毎に存在する。ということです。)というものが必要とされるということだと思います。(これはきっとアマチュアの世界では、あまり意識されていないことかもしれません。アマチュアから見ると市場全体が一つのピラミッドとしてしかとらえられていないからです。 極端な例で言うと、過程の主婦は一つの包丁でなんでも調理してしまう。ケーキを包丁で切ってしまうコトは、プロにはあり得ませんが一般家庭では、見かける光景なのではないでしょうか。)

話しを元にもどします。
これら3つの項目で市場を想定し、「まあ、こんな感じかな(*)」と思えるところまで煮詰めることができれば、目的は完了したことになります。

⑴ヒエラルキー(ここでは、上下関係:質、濃密さ、金額などを縦軸にお互いの影響やステップアップ過程をイメージします。)

⑵普及のプロセス(時間軸:⑴に似ています。時間の経過によって主役となるセグメントが変わる様子をイメージします。)

⑶産業のマッピング(タイプ別に区分、各タイプのセグメント毎の特徴と規模を捉えることで、業界全体をイメージするのが目的です)

『むしろ重要になってくるのは、正確性ではなく「センスメイキング」。正確性よりも「納得性」。
正確な答えは誰もわからないのだけど、「きっとこうなる」と思いっきり主観で言って、そこにストーリーを作って、それに納得して共感してくれる人たちを巻き込んで。それで前に進んでいくっていうことがとても重要だと思うのです』。[3] 

これら3つを相互させながら市場想定をしていくと、自然とそれっぽいイメージが出来上がる。
それで先に進められるところまできます。

あとは、実際に作業をすすめながら想定を修正していけば良い。そんな風に考えています。

という事で、以上に関しても決して完全かつ、確立した手法ではありませんが コトを進める上でのヒントになるのではないかと思っています。

ではでは。



【1】

キャズム

キャズム

  • 作者: ジェフリー・ムーア
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2002/01/23
  • メディア: 単行本



[2]食材の美味しさは包丁の切れ味で決まる!(貝印(株)HP)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000006236.html

[3] 「センスメイキング理論」不確実な世の中で、ビジネスはこう動かす  
-正確性を捨て、代わりに武器となるもの-
早稲田ビジネススクール・入山章栄先生×One JAPAN 対談 前編 (One JAPAN HP)
http://onejapan.jp/2017/03/26/%E4%B8%8D%E7%A2%BA%E5%AE%9F%E3%81%AA%E4%B8%96%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%A7%E3%80%81%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%81%AF%E3%81%93%E3%81%86%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%81%99-%E3%80%80/
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