僕が受けた二つのショック。  ~道徳授業地区公開講座『講師:堀江航さん』〜 [講演会・セミナー]

本日(6月11日(土))、娘の通う公立小学校の学校参観に参加してきました。

区の方針らしいのですが、学校公開日は数日設けられていて(今回は、木、金、土の3日間だった模様。)仕事を持つ多忙な親類の方々も何らかの授業を参観できるようになっています。

これは、親としては大変ありがたいことです。さすがに長期出張とぶつかると行けなくなってしまいますが、この学校公開日は、各学期ごとにあるようなのでおかげで少なくとも1年に1度は参加させてもらっています。

娘の授業に対する姿勢を観察したり、教室に貼り出されている絵や習字を見たり、クラスの中で何係をしているのか、どんな活躍をしているのかより具合的にイメージできて楽しいものです。

また、低学年から授業参観や運動会などのイベントを通じて、クラスのお友達の顔も徐々に覚えてきたので我が娘のみならず、みんなの成長も楽しませていただいています。

今日、触れておきたかったのは授業参加の後に開催された『道徳授業地区公開講座』です。
正直、当日までこの講座の事を知らなかったです。
妻には、11日土曜日は、学校公開の日。授業を参観してきてね。と前々から言われていたので学校に行く事は、予定していたのですが『道徳授業地区公開講座』がその一環として組まれているのは知らなかったです。

今までも、そのような講演会は催されていて授業が全て終わった後の時間に設定されているものだったこともあって、参加したことはありませんでした。

そういう中での参加だったので、どんな講座なのか、誰が来て何をするのかも知らないまま会場である体育館に向かいました。

会場に入るなり目に入ったのは、ずらり並べられているパイプ椅子、とすでに着席されている父兄の方々、そして学校関係者。

前方の壁に貼ってある大きな紙には、
題目『人間のもつ可能性や困難を乗り越える力の育成』〜努力〜
講師 元車いす バスケットボール選手 堀江航 様
と書かれていました。

そういえば、会場内に幾つか車いすが置いてあるし、娘が先日『車いす体験をした』というのを思い出しました。

講演会というものへは、他人と比べて比較的(いや相当)参加している方だと思いますが、大概の場合は、事前に色々調べることはなく先入観を持たずに臨むことが多いです。今回も御多分にもれず、事前情報なしでの参加でした。

8割かた席が埋まった状態の会場。どこに座ろうかなとおもったら一番最前列が空いていたのでそこにすわりました。まあ、これもいつもの僕の行動パターン。折角なら一番前でガッツリ聴く。というのが信条です。

講演開始まであと5分。というところで着席した際に何気なく前をみていたら30代と思われる男性が立ってました。講演会の世話人かな。いや、講演者。たしか、講演者は、元車いすバスケットボール選手。ってあったからこの人が講演者でコーチなのかな。えっ、でも選手って。。。などと思いながら会場の体育館をキョロキョロしているうちに講演会開始の時間になりました。

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副校長がMC。その際の紹介で初めて分かりました。先ほどの男性が元車いす バスケットボール選手の堀江さん。全身を見渡すと、たしかに左足が義足。でも、自然に立っているし、表情も仕草もすべて特別なところがない。

堀江さんの話を伺っているうちに気付きました。それら(*)はすべて自分の理解、イメージは、単なる先入観に過ぎない。それも一方的な思い込みに過ぎないということに。[2]

事実、堀江さんも講演の際に期待されるのは、
『人生どん底からの立ち直り』みたいな題目、ストーリーを期待されることが多いそうです。
我々の中にそんな先入観と期待のようなものが出来上がっているが、実際、本人からすると全く違うそうです。
そう、僕のなかの先入観、固定概念のようなものが全て間違っていたということに気づかされたということです。


実際、堀江さんの話からは、ひとかけらの悲壮感も絶望感すら感じなかった。
それどころか、僕ら以上にポジティブにそして貪欲に挑戦し続けている。活き活きした表情ばかりが印象的だったです。

大学3年生の時に片足を失って、それまで真剣に取り組んでいたサッカーが出来なくなったことは悲しい出来事だったが不幸だとは思わなかった。

それよりもスポーツをなにかやりたくて渡米。

そこでマンガ『リアル』で知っていた車いすバスケットボールに挑戦することにしたそうです。でも、半端なく取り組まれたようでその留学先の名門イリノイ大学で活躍。全米選手権でも優勝。そのまま、車いすバスケットボールのプロリーグがある(*)スペインリーグや、ドイツのブンデスリーグで活躍。ドイツリーグカップや、ヨーロッパカップなど3冠達成。

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次に挑戦したのは、アイス・スレッジホッケー。(車いすアイスホッケー)
2014年ソチオリンピックを目指して頑張ったそうです。最終予選までいったが日本チームのオリンピック出場は叶わなかったそうです。

ダウンロード.jpg

それ以外にも
・車いすソフトボール
img_0.jpg


・ブラジリアン柔術(投げ技が無い柔道。寝技、関節技が主体の競技)
いまは、これがメインのようで黒帯を目指して挑戦中だそうです。




いろんな競技に挑戦するのは、米国で学んだことだそうです。日本の場合は、一つの競技に集中して年間スケジュールを組んで取り組むが、米国やヨーロッパなどの大学では、スポーツごとにシーズンが区切られていて、オフシーズンになるとコーチから教わることが出来ない決まりになっているぐらいだそうです。

多様なスポーツ競技にふれあうことのメリット。それは、各競技において求められる能力は異なるので、いろいろな競技を体験することで自らの可能性が広がるし、自分の大事にしている競技への好影響が期待できるようです。

堀江さんらに対しての間違った思い込み、先入観へのショックに加えて、もう一つショックだったことがあります。
ここまでの文面でも触れましたが、日本と欧米との違いです。

日本も随分、成熟した国家になったと思うコトもありますが、こと身障者の方々に対する理解と環境という点ではまだまだ欧米諸国からは遅れているように思いました。

先ほどのヨーロッパでの話に戻りますが、ヨーロッパには車いすバスケットボールなどにプロリーグがあってそれもかなりメジャーな存在だそうです。選手にファンがついていていて選手のサインやウェアなども人気だそうです。
そうとう熱い競技として運営されているとのことです。それに比べれば、日本はまだまだな気がします。

車いすバスケットボールが一般的な競技として運営されている。健常者のプレーヤーも実は多く、ドイツのブンデスリーグなどでは、健常者プレーヤーも混在しているそうです。

もちろん、健常者が身体能力的に有利な部分があるので体の状態によって1~4.5点の点数がつけられている。
例えば、堀江さんの場合は4.5点。腹筋から下部が無いかたは1点。コート内の選手全員の合計点数が14点以下であることが求められるそうです。それがクリア出来ていれば、健常者もプレイ可能ということのようです。

何れにしても、競技が特別なものとして扱われることなく、さまざまな個性の人たちで楽しむ楽しめる競技として支えられているとのことです。

 ここまで聞かされて、自分の先入観の間違いに打ちのめされていた僕でしたが、
アイス・スレッジホッケーなどは、『両脚ない選手の方がアドバンテージがある。体が軽いですからね。』との堀江さんの言葉を聴いて、まだまだ、理解が足りていない。とショックを受けました。。。



僕のイメージと実際の選手の方のマインドとのギャップに対するショック、
日本という国が先進国、成熟しているというのが単なる思い込みだったというショック、

この2つのショックを感じた一日。半ば、アクシデントで出席した講演会でしたが、大変有意義なものでした。
偶然のようであって、必然だったのかもしれません。一期一会。そんなことを思いました。

ではでは。


[1]centerpole HP 堀江航さん紹介ページ
http://www.centerpole.work/#!blank/n7xit

[2]アクセシブルアイコン Centerpole HPより
http://www.centerpole.work/#!product-page/z07bt/8268ca31-ade1-2f6e-1d7e-f6d061d0e416

スクリーンショット 2016-06-12 7.20.23.png


Accessible Icon Project( 以下「AIP」)は、国際標準の身障者マークをよりアクティブでポジティブなものに変えるためにアメリカで2009年に始まった草の根運動です。
視覚から受ける印象は我々の生活に大きな影響を与えています。また、現在使用されている標識やマークは、我々がどのようなイメージを持っているかを表しているとも言えるでしょう。
身体に障害を持つ人々は、長いあいだ「他人の力を借りなくては何もできない存在」として扱われてきました。旧身障者マークはとても受身でネガティブな印象を与えます。手足には生気がなく、上半身は不自然な直立姿勢、人は車イスのおまけのように描かれています。
AIPは、身障者マークを一新することによって社会の意識を変革し、身障者の方々があらゆる分野でもっと活躍できるよう支援するためのプロジェクトです。

[3]日本の障害者スポーツ文化を変えたい~片足アスリートの挑戦~
 ブラジリアン柔術 堀江航さん(CARPE DIEM BRAZILIAN JIU-JITSU)(WEDGE Infinity HP)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5156?page=1

[4]堀江航さんの略歴(まくらぼ HP)
http://www.makulab.jp/sports_horie_wataru.html

2008-10年
University of Illinois 所属 2009 NWBAカレッジディヴィジョン 準優勝

2010年
NWBAカレッジディヴィジョン 優勝 2010 All Academic American 受賞
2011-12年
ドイツ RSV Lahn Dillに移籍
ドイツカップ、ブンデスリーガで国内2冠。 ヨーロッパチャンピオンズカップも制し、3冠を達成。
ドイツリーグ、ブンデスリーガ優勝
POKAL(ポカル、ドイツカップ)優勝
ヨーロッパチャンピオンズカップ優勝
2013年
アイススレッジホッケー日本代表として世界選手権大会Bプールに出場。銀メダルを獲得
2015年
ブラジリアン柔術 関東オープン アダルト2 白帯 無差別級 優勝

20101201140914.jpg

[5][第82回]プロ化進む ドイツの車椅子バスケ(GLOBE HP)
『ドイツで、車椅子バスケットボールが注目を集めている。試合を開催すれば1000人以上の観客が集まり、プロ化も進む。人気の根底には、「誰もがスポーツを楽しむのが当たり前」という文化が流れている。(スポーツ部・後藤太輔)』
http://globe.asahi.com/sports/2016040100024.html

キャプチャ.JPG

[6]車椅子バスケ わたるさん (アメリカ留学生インタビュー ブログ 
http://uofi.exblog.jp/i4
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