オバQ誕生秘話(その2) 制約条件で、物事を決める。思考法としてのヒントです。 [書籍・雑誌]

先日の続き。オバQの誕生秘話に関して、こんなことも書いてあった。

オバQは、藤子不二雄さんの代表作のひとつであり、人気作品である。アニメにもなり広く親しまれた作品である。驚くことに、藤子不二雄さん(藤本さん、我孫子さん両氏)のみならず、石ノ森章太郎さんや、北見けんいちさんまでもが参加した合作だった。というところまでは昨日も触れた。

実は、オバQを連載始めたときはまったく人気が出なかった。そうだ。それどころか人気ない。という理由で数回で連載を辞めたらしい。
だだそこからが面白い。辞めた途端になんで辞めたんだという抗議がきた。雑誌の編集長が「どうしてオバQをやめたのか!また始めてください。」という、読者のはがきを持って現れた。こんなことは初めて。でも、嬉しい。じゃあ、とりあえずもう一度やってみるかと、少し中断してから再開したらバカみたいに人気が出て、(少年サンデー以外の)ほかの学習誌にまで掲載することになった。そうだ。[1]

よく似た話をゲゲゲの鬼太郎で有名な水木しげるさんも経験されたという話をゲゲゲの女房で観た記憶がある。だめだ、人気がない。売れない。。。読者からの反応がない。実は、大勢の支持者がいてそこから快進撃。みたいな。そんな話があったように記憶している。
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当時も人気があって忙しかった作家の合作オバQをどのように連載していたか。これがまた面白い。『みな忙しいですから、石ノ森さんが「今週は勘弁してくれ」なんて言うと、「(石ノ森さんが担当していた)その他大勢」が一切出てこないようにアイディアを考える。それがまた面白かったわけです。』
要は、制約条件があることで発想が逆に広がる。という経験をされたようだ。

制約条件で、物事を決める。そんな事例といえそうなこんな話もされている。
『猫(ドラえもん)をまともに描いちゃうと巨大な化け猫みたいになって怖いんです。それで耳をとっちゃえ。と。色はどうしようか。あれば学習雑誌で、低学年対象。それで最初のページは色扉から始まるケースが多い。色扉は地色に黄色を使うことが多くて、タイトル文字は赤が多い。そうなると、赤と黄色を除いたら、あとは青。それでドラえもんは青くなった。』[1]

『だだ、合同作業ゆえの難しさも表現されている。藤子不二雄さんらは、スタジオ・ゼロというアニメーション会社もやっていたそうだが(その運転資金を調達するために、オバQの連載をしたというのは昨日の記事でもふれた)、いろいろやった仕事のなかに「鉄腕アトム」の下請けもあったそうだ。 アニメは、忠実にそのキャラクターを動かしていく能力がないといけない。だが、それぞれ自分なりの個性をもった連中ばかりだったので、アニメにも癖が出てしまった。7人で書いたら7通りのアトムが飛び交ってしまったりした。結果、一本アニメを作るたびに100万円の赤字。スタジオ・ゼロは文字通りゼロになってめでたく解散、会社ごっこは終わった。』と記されている。[1]

アイディアも、作品にも個性は必要だが、統一感みたいなものは必要だということなのだろう。


いずれにしても、藤子・F・不二雄さんらは限られた時間という制約の中で数多くの仕事をされてきた。発想、思考に無駄がないのだろう。『急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め』[2]の究極形なのかもしれない。そんなことも思った。


ではでは。

[1]

藤子・F・不二雄の発想術 (小学館新書)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/02/03
  • メディア: 単行本



[2]

急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め―ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53 (角川SSC新書)

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  • 作者: 石田 修大
  • 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 新書



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