”事業戦略”と”ブランド戦略”との関係 〜 その③〜 ブランドイメージのビジネスへの効能 [講演会・セミナー]

 今回は、ブランド戦略は、ビジネス(商売)においてどのような影響を生むのか。平たく言うとブランド戦略=ブランドイメージは、消費者の購買行動に影響を及ぼすのか。に関して考察してみたいと思う。

 おおよそ事業が厳しい状態になるとまず、削減要求されるのが以下の3つ。と言われている。

a.サービスのQuality改善
b.リテンションプログラム
c.広告・宣伝

こんな3つの共通点がある!という表現も出来る。

 ①カスタマーエクイティを増進してくれる。
 ②結果についての財務的な説明が難しい。
 ③投資なのかコストなのか?のコンセンサスが取れていない。

②、③の原因により、、コストセーブのターゲットとされ易い。
支出レベルを正当化出来ないとすると削減される。のが、サービス、りテンションプログラムそして、宣伝・広告である。
   
これを回避するためには、担当者には
投資であることを明言する。と同時にROIで財務的な説明をする。ことが求められる。(が実際は難しい。)

このような背景があるために、繰り返しになるが、因果関係で説明しないと納得してもらえない。がそれが出来ない(困難なために出来ていない)結果、コスト削減のscapegoat(身代わり)にされる。[1]

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多少の飛躍もあるが、カスタマーエクイティという概念に多少今一度、触れてみようと思う。
カスタマー・エクイティというフレームワークが必要な訳は?

時代背景①

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(写真は、あくまでイメージです。)

 創業者経営時代は、絶対的トップダウンが可能であった。(実際にはそんなに単純ではないようだが、ここでは論理を組み立てる上で敢えて単純化する。)

それが、次世代経営者(サラリーマン経営者)にバトンタッチされ絶対的トップダウンから合議制へと移る。
→これにより、意思決定のためには財務指標つまりROIでのより詳細な説明が不可欠になる。

時代背景②

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 不況
 社会全体が経済的に不況になっている昨今、各企業はコストセーブに今まで以上に躍起にならざるを得ない。
→これにより、先述の3つの活動への費用が削減されやすくなる。
 なにせ、いままでのそして、今後の結果(&結果予測)に対しての財務的な説明が難しい。事に加えて、a.サービス品質の改善、b.リテンションプログラム、c.広告・宣伝 などの費用は、”投資”としての位置づけなのか、はたまた”(単純)コスト”なのか社内での位置づけが明確になっていない。しないことが多いからである。(誰かが意志をもって、これらは”投資”だ。とするか、”コスト”とする。と主張しないと決まらないし、あやふやにしておくことを良しとする風潮すらある。ある種の社内タブーだったりもする。)

では、財務的な説明が難しい。を先に挙げた、a.サービス品質の改善例に解読してみよう。

「なぜ財務的なビジネスKPIとサービス品質か以前との因果関係が説明することが難しいのか」
 ここでは、サービスの改善 と価格へのアクションとの対比で読み解いてみる。

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こういう因果関係にこだわりすぎると、結果商売の本質である”風が吹いたら桶屋がもうかる。”を軽視してしまうことになり、結果として商売がネガティブなスパイラルに入ることになる。
 目に見える範囲だけでビジネス効率を求めると結果、悪化していくことになる。こういう例は枚挙が無いことを多数の企業の事例研究を通じて感じたことでもある。

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 これらの困難と実情を解決するために考え出され、組み立てられているのがこのカスタマーエクイティというフレームワーク。
 Value Equity (品質、価格、利便性など。客観的・合理的なもの。顧客の価値認識から生まれる。)
 Brand Equity (カッコいい、刺激的だなどのような主観的なもの感情的なもの)
 Retention Equity (顧客維持プログラムやリレーション、構築などから生まれるカスタマーエクイティのこと。)


と要素分解して、各々の評価をする。その評価結果の総和がCustomer Equity。

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 Customer Equityと各活動との因果関係を評価しながら投資項目と額を決める。というコンセプトである。このようなコンセプト、理論は他にも存在するようだがCustomer Equityの提唱が一番現実的かつ具体的なように個人的には思っている。

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だが、そのCustomer Equityを実際に企業内の意思決定で活用している事例を見かけることも少ない。なぜならば、データを取る。分析する。という行為を継続的に行う必要がある。それなりに作業に人手とコストを要するからである。Equityにもよるが、アクションに対して結果が見えるのはかなり後になる。そこまで我慢してデータを取り続けるには、社内のコンセンサス、信念が必要となるからである。意思決定のための手法を導入運営するための社内コンセンサスを取るのも容易でhない。なにやら無限ループのような話だが、これが企業における現実なのである。

(ある他大学のマーケティングを専門にされる教授にCustomer Equity, Brand Equityのコンセプトを実業務に活用している企業はあるのでしょうか?と質問した時、明言はされなかったが事例はかなり希有なようだった。僕だけの思い込みや理解ではなく、一般的に活用は少ないと考えて良いと思う。)

次号”事業戦略”と”ブランド戦略”との関係 〜 その④〜に続く。

ではでは。





カスタマー・エクイティ―ブランド、顧客価値、リテンションを統合する

カスタマー・エクイティ―ブランド、顧客価値、リテンションを統合する

  • 作者: ローランド・T. ラスト
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2001/09
  • メディア: 単行本


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