仕事は生き方である。 (仕事力 朝日新聞社) [新聞]

朝日新聞の毎週日曜朝刊掲載の”仕事力”楽しみに読ませて頂いている。
それを書籍にまとめたものが出ているのは知っていた。偶然、図書館で手にした。

現在の自分が興味を持っている内容にピッタリな記事が満載だということに気付かされた。
たとえば、

仕事は日本人の生きる歓び 梅原 猛さん
スクリーンショット(2014-01-18 9.42.45).png

”苦しい労働も、実は楽しみである。

『アジアの農耕民族と西欧の労働観は違う』
 ヨーロッパ文明の基礎を成しているのはイラクのシュメール文明といわれていますが、そこでは神様が労働を苦痛に感じて人間を作ったと伝えられています。そして人間はまたその労働がいやで奴隷という身分を作ったと。
 現在の経済政策は新古典派の道徳観の上に立っていますが、これもヨーロッパ文明の考え方と同じで、労働は苦痛であるというのが基本にある。その苦痛の代償として給料が支払われるのだとしています。お金さえ入れば、遊んでいるのが一番良い人生という事ですね。しかし、それは違うと私は思う。狼が獲物を狙うのは一種の労働ですが、それは苦痛ではなく楽しみではないか。狩猟採集する人間もそれを楽しんでいるのではないか。稲作も苦しい作業が続く労働ですが、アジアではこれを苦しみとは位置づけませんでした。一生懸命働くと、それによって両親や子供たちも家族みんなが食べて行ける。労働そのものは肉体的にきつくとも根本的には歓びだと言う観念がずっとあります。”

『なぜ、道徳や宗教は疎んじられるのか』
 私たちが便利で快適な生活を送る事が出来るのは近代文明のお陰です。14〜16世紀にイタリアで興ったルネサンス運動に端を発して、近代科学技術文明は発達してきました。このとき、科学と宗教が抗争し、科学が勝利した。だから近代人は、科学のほうが宗教より重要であるという意識を強く持っています。とくに日本は明治維新以来、科学技術文明を採用して一気に近代国家になり成功した。鎖国で閉ざされたいた国にいきなりやってきた科学技術文明は、それはまぶしかったと思いますよ。今日まで日本人が夢中になったのも理解できます。
 しかしその勢いで、明治政府は廃仏毀釈を行った。神と仏を引き離し、両方を否定し、そして神仏を殺してしまった。宗教、神仏が人間にとって何であるかを考えることなく葬ってしまったのです。道徳というものも宗教によって成り立っていますから、近代日本は道徳も殺してしまったといえるでしょうね。
 なぜ、日本人が道徳や宗教を疎んじるのか。さかのぼるとそこに行きつく。道徳、宗教などと九日するのは近代人として恥ずかしいという思いが染み込んでいるのです。(略)
 でも、科学技術は、人間がいかに生きるべきかをおしえてはくれなかった。今日の日本人の底知れない不安、焦りの要因はそこにあるのです。[1]



[1]朝日新聞「朝日求人」欄2003年3月〜2005年5月 P73〜P87

仕事力

仕事力

  • 作者: 朝日新聞広告局
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2005/06/16
  • メディア: 単行本



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