「組織された混沌」「部分的に見れば技術者は自由奔放に仕事を進め、混沌としているが、会社全体としては、目標が明確で良い秩序が保たれていた」[1] [書籍・雑誌]

「部分的に見れば技術者は自由奔放に仕事を進め、混沌としているが、会社全体としては、目標が明確で良い秩序が保たれていた」[1]とは、江崎玲於奈さんが井深大さんのソニー・グループ葬儀での弔辞。
これを一言で「組織された混沌」と表現する人もいる。[2]

 M・チクセントミハイが提起した「フロー体験」とこの表現が酷似している。とも言っている。また、ソニーの創業期にみた組織化された混沌の状態を取り戻すためにCDの共同開発や、犬型ロボットAIBOの開発者として活躍した土井利忠さんはその「フロー」を理論背景として活用しようと試みたそうだ。その土井さんが「フロー体験」理論をチクセントミハイから学ぼうと渡米して彼の講義を利いたときのスライドの1枚目が「ソニーの設立趣意書」の第一条「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想向上の建設」だったそうだ。さらにチクセントミハイ教授は、「自由闊達にして愉快なる」の箇所を特に強調し、「これがフローに入るコツなんです!」と語ったという。[2][3]

だが、そのフロー体験型企業であり続けることは容易ではなく、意識してもイノベーティブ企業であり続ける事は難しい。という示唆をここから得てしまう。
 ソニーという会社は一般的に企業が辿る路を典型的かつ象徴的に辿って来た企業のように思う。敷衍化された理論に基づいた試行錯誤をすくなくとも議論してきた企業などだとも思った。創業期と全く同じ形での生まれ変わり。というのはやはり無いのかもしれない。

 ただ、その会社固有のカルチャー、DNAは残るとも言われている。その企業だからこそ、その企業にしかなし得ない事は、また何れのタイミングで成し遂げられる。という話もある。

 個人、組織としての燃えた状態を如何につくるか。作り続けるか。創業時の小集団が成し得ていた事を大きな組織でも実現しつづける。なにか方法がある筈。すくなくとも、会社全体としての目標が明確かつ全体で理解されている状況をつくることが先決。
 そのためには具体性も大事。概念におわることなく具体性をもたせる。やはり具体的な製品1つ世に出すしかないのだろう。鶏が先か卵が先か。といえば、鶏。という事になるのだろう。特にコンシューマー対象のビジネスをする企業であれば。

そんなことを考えさせられる記事を読んだ。

自分たちが抱える主課題として”大組織におけるイノベーション力の育成と活用方法の設計〜大胆な発想を商品化に繋げるための仕組み〜”という主題で商学修士論文をまとめたが、僕が考察した程度のことは既に先人である土井利忠さんなどが論理的にも実践的にもチャレンジしていたことになる。ただ、繰り返し試みる事、同じ想いを持つ社員の比率が増すなどの諸条件が変われば、主張する方向性や行動の範囲も変わる筈。多いに先人の知恵を参考にさせて貰いながら自分が出来る範囲の事をやり続けたいと思う。自分がやれることはそれ位しかないのだから。

ではでは。

[1]1998年1月21日に執り行われた井深大のソニー・グループ葬での江崎玲於奈の弔辞より。
[2]森健二 盛田昭夫 グローバルリーダーはいかにして生まれたか 第12回ブランドに魂が入る瞬間 2013年10月号 DHBR

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 10月号 [雑誌]

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 10月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: 雑誌



[3]天外伺朗「マネジメント革命」(講談社)P65

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

  • 作者: 天外 伺朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/10/06
  • メディア: 単行本






フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

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  • 作者: M. チクセントミハイ
  • 出版社/メーカー: 世界思想社
  • 発売日: 1996/08
  • メディア: 単行本



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