『専門化と多角化のバランス』(選択と集中の是非)& ”桃太郎”か”浦島太郎”か? [新聞]

 先日、新聞(朝日新聞 2012年9月9日(日)朝刊)を読んでいて思った事、記憶に留めておきたい事をここに残しておきたいと思う。

波聞風問.JPG

 新聞は当然、様々な情報を日々掲載している。それらの記事も読む側の興味、タイミングによって見え方、読み方が変わる。これは別に新聞という書き物に限ったことではなく、あらゆる本、雑誌などにも当てはまることだ。今回も僕がそもそもいま気にかけている事柄の切り口で興味を持った内容である。自分以外には殆ど意味が無いが、これも自分の記憶、記録という点で鍵になりそうなので、その気にかけている事柄に触れておく。通っているビジネススクールの夏の宿題テーマとして、日本の繊維業界の大手の全社戦略を立案せよ。というお題を貰っている。東レ、帝人、旭化成といったところだ。
 どの企業もレーヨンなどの繊維から事業を起こし、多角化により企業運営している。東レなども、いまでは繊維産業以外に、プラスチック・ケミカル事業、情報通信材料・機器事業、炭素繊維複合材料事業、環境・エンジニアリング事業、ライフサイエンス事業んどの多角化企業である。つい先日も、東レは最高益を記録した。だが、すべての事業で好調というわけではない。衣料品向けは安価な製品との競合悪化。好調さのの牽引役を果たしたのは、高機能不織布だったり、航空機や宇宙開発で活用される高機能炭素繊維である。「東レ、最高益支える繊維の秘密」(日本経済新聞 2012年9月10日電子版 http://www.nikkei.com/markets/kigyo/editors.aspx?g=DGXNMSGD2906ZN31082012000000) やはり付加価値の高い製品を提供し続けることが日本企業の生きる道であり、時代のトレンドに対応し続けないといけないといいう事の大切さをここから感じる。
 ただし、時代の変化は誰にも読めない。不確定なものである。読めない将来に対して、方向性を決める。リスクを取ることになる。事業とは、リスクTakingだ。と言われる所以がここにある。ただ、なにも考えずにリスクを取るのはあまりにも馬鹿げている。
 そこでどのようなリスクを想定するのか、それをビジュアル化しようというフレームワークの一つにシナリオ・プランニングというものがある。と一緒に宿題を進めている友人から教わった。著書、シナリオ・プランニング「戦略的思考と意思決定」 によるとその不確定要素、ドライビングフォースとなり得る要素としては、次のようなものが挙げられるとされている。
 ・社会----人口動態、教育、嗜好
 ・技術----IT、電気通信、ロジスティック、輸送
 ・経済----経済成長、株式市場、財政政策、税制
 ・生態系--原材料、資源、気候、汚染
 ・政治-----政治体制、政治活動、リーダーシップ、政策
これらのドライビング・フォースが、好ましい変化、もしくは、好ましくない変化が起きた時にどうなるか。どうすれば良いかをシナリオを作りビジュアル化しようというのがその手法(のようだ。真面目に著書を読んでいないので聞きかじりと勝手な想像でこの当たりを理解したつもりでいる。)

 そもそも、この課題をもらったときから宿題の狙いとしては、東レが実際どのような事を考えているかよりも、自分が経営者だった場合にどのように会社の方向づけをするか。を問われていると考えていた。よって僕自身のアプローチは、他のメンバーと違い、自社(この場合は東レ)分析よりも、環境要素(人口生態、GDP、所得層の変化、中間層が増えると想定されているエリア、消費面だけではなく、生産面でのエリア分析、製品科目別の普及率など)に着目していた。この狙いはなにやら外していないようだ。
 このシナリオプランニングにおいて、ドライビングフォースとして影響が大きそうなものを2つ選び、その2つの要素でX-Y軸をとり、マトリックスを埋める。その2つは、無相関なものを選択するのが良いのだろう。おのおのBest,Worstを想定してその場合はどうなる。だからどうする。を埋めていく。(のだろう(笑)、わかってたら作業しろよ。って自分に言い聞かせてるWWW)

 で、出だしで触れた朝日新聞ネタに戻る。朝日新聞 編集委員の安井孝之の記事の論調では、「選択と集中」という戦略にも落とし穴がある。GEが成功したことで脚光を浴びた「選択と集中」だが、今話題のシャープは、その選択と集中できわどい状態に陥った。というのだ。確かにそうだと僕も思う。
(以下に安井孝之さんの記事を抜粋させていただく)
 80年代は、多角化の時代。高度成長期から成熟期に入り、本業だけではなく新規事業を探さなければならなかった。それがバブル崩壊で一転した。
 そんな中、GEは、シェアで1、2位の事業に集中し、それ以外は撤退する「選択と集中」で業績を上げた。そして90年代後半には、この言葉が流行となった。
 シャープも、98年に社長になった町田相談役が就任直後「05年までにテレビをブラウン管から液晶に置き換える」と宣言。半導体を縮小して、液晶への集中を決めた。当時、シャープのテレビは安売りの対象だった。宣言はその打開策。「家電の王様」といわれるテレビの市場を自社の液晶技術を駆使し、全く異なる市場に変え、優位にたつという大胆な戦略だった。戦略は当たった。シャープはセはトップに躍り出て、「選択と集中」の成功例となった。08年3月期には過去最高の売上高と純利益を上げ、絶頂を迎えたかに見えた。だが、振り返ると戦略の内実は似て非なるものだった。 98年の選択は赤字の液晶を選び、黒字の半導体を捨てた。目先よりも未来に期待できる利益に挑む判断があった。しかし、その後は、高収益に育った液晶に集中する目先の利益に頼った判断だった。
 市場関係者は「なぜ不採算部門を切らないのか」と経営者に迫り、経営者も市場の信頼を得たいと赤字部門をきり、黒字部門に集中する。赤字か黒字かというデジタルな判断は確実に見える時間、つまり短期になりがちだ。
「選択と集中」の全てが間違いなのではない。だがそこには罠がある。高収益ばかりに集中する慣性が働いてしまうことだ。
 経済学者のドラッカーは「専門化と多角化のバランス」の重要性も指摘し、「未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違う」と書いた。集中しさえすればいいのではない。未来をみた多角化からも逃れられない。シャープの苦境は「選択と集中」の罠に、足をすくわれた結果なのかもしれない。(朝日新聞 波聞風問(はもんふうもん) 編集委員 安井孝之 2012年9月9日(日)朝刊)

 もうひとつ、世の中変化、不確定要素に対しての処し方を示唆した記事を見かけたので触れておきたい。これも同日の朝日新聞。記事を書いたのは、宇宙飛行士の山崎直子さん。(仕事力 朝日新聞2012年9月9日(日))宇宙飛行士になる際に受けた筆記試験の中に、こんなのがあったそうだ。「桃太郎」と「浦島太郎」のどちらが好きですか?当然、正しい答えがあるわけではなく、どちらを好むかでその人の性格を探る。というのが趣旨だというのが山崎さんなりの解釈だった。出題した精神科医の先生によると桃太郎は、「鬼の征伐」という目標に向かってしっかりと突き進み合理的であり、一方の浦島太郎は、竜宮城で楽しみ、開けてはならない玉手箱を楽観的に持ってきて、しかも開けてしまう無邪気さがある。桃太郎にみられる責任感、浦島太郎の何が起こるか予測できない状況にでもそれを楽しむ。という要素がある。宇宙飛行士には、どちらが向いているか。という問いでもないようです。(あくまで性格診断テストらしいです。) 次はどんなことが起こるのか、それを楽しむ気持ちでいること。仕事には、努力とともに、楽観的な「受け入れる覚悟」が大切なのかもしれない。と結んでいたのが印象的だった。

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 経営も同じで、最善の努力をしながらも、楽観的な部分は必要。変化が厳しいこの時代をどう楽しめるかが、経営者にもとめられているのだろと半ばこじつけながら思った次第である。

元に戻って、東レの宿題。縦軸に”中間所得層の人口動態(増える、増えない)”、横軸に生態系”気候(温暖化進む、進まない)”あたりをすえてシナリオを書いてみようと思う。ちょっと気が進まないがグループ作業なのでしょうがあるまいWW。

ではでは。
シナリオ・プランニング「戦略的思考と意思決定」

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  • 作者: キース ヴァン・デル・ハイデン
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 単行本



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