長い時間軸での見方、世界規模での考察で腹オチ感抜群だった。BCG 御立尚資さん  [講義・授業]

 BCG御立尚資さんの話を聴いたのは、実は2度目。一度目は、慶應MCCの夕学五十講。あの時のお題は、『変化の時代と戦略ルネサンス』。百年、千年単位でのものの見方、歴史観に基づいた話に大変刺激を受けたのを思い出す。二度目の今回も大いに楽しまさせていただいた。
 今回の御立さんとの質疑応答でのやり取りの中でも、引き出しの多さを感じた。どんな質問が富んできても幾多もあるネタを引用しながら回答するスタイルは今回も健在。僕に限らず、聴講していたメンバーは大きく腹オチしていたに違いない。

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(上記写真は、前回2010年に講演された時のものを流用)

 今回の講義の場をホストしているのは、前BCG代表の内田和成先生。現&前代表ながらタイプが可也違うと以前に聞いたことがあった。確かに、内田さんのプレゼンはパワーポイントを使わず古典落語的なアプローチなのに対して、御立さんはスライドおよびデータを多用される。スタイルは違う。内田さんの斜に構えたかのようなコメントアプローチに対して、如何にも常識人と思われるような御立さんの話の構成。お二人の中でのコントラストも頭のなかで楽しませて頂いた。スタイル、タイプに違いはあるにせよ、いずれ劣らず腹オチ感十分なお話。今回も流石だ。と正直唸ってしまった。

公演中の質疑応答でも質問してみたかったことがあったのだが、なんか圧倒された感が僕のなかに合ったのと、ホストの内田先生に妙に気をつかって質問出来なかった。いつものように突き上げるような挙手はできず、手を上げ下げしてしまった。。変化適応力の話題もあってリスクとリターンのバランスをとる。という葛藤のなかで諦めた。ちなみに今回のリスクは、開場が静まること。リターンは笑いを取ること。質疑応答で笑い(他の聴講生はもちろん、講演者とうにんも思わずニヤリ。としてしまうような質問をいつも目指している。やっぱりチャレンジすればよかったかな。。。。ちょっぴりそれだけが心残り。)

ここに、グっときた部分をハイライトしてみたいとおもう。
◆知ってるよ。えっ、知らなかった。と思わせる話。これで掴む話術。
  最も強いものが行き残るのではなく、
  最も懸命なものが生き残るのでもない。
  最も変化できるものが生き残るのだ。

ここまで聞いたら、あ〜っ、知ってる。聞いたことあるよ。とまずMBA学生位ならおもうところ。

でも、じつは、この言葉はLCメギンンソンが経営によるチャールズ・ダーウィンの解釈。決してダーウィンが言った言葉ではない。と聞くと、えっ、知らなかった。。ってなる。その辺を計算しつくした掴みにグっときた。

◆データのまとめ方、切り口が面白い。
 例えば、米国メディア業界の順位変動のデータ。『業界順位変動の拡大(米国メディア業界)』昔は、参入企業数が限られていて、かつ企業規模の順位変動が少なかった。入れ替わったとしても2位が1位になったり、3位が4位になったりするぐらいの変化だったのが、最近では10位くらいの企業がいきなり翌年には1位になったり、その逆もある。それをプロットしてしまうことでビジュアルてきに業界が”安定期”→”変化幅拡大期”→”変化スピード期”に急速に変化している様子が紹介された。振れ幅が大きくなっていること、変化のスピートが加速している様子が直感的に伝わってくる。大変秀逸なプレゼンだったと思う。

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◆いままでの常識が崩れさっているのが現代。
 『規模の経済』というのは、当然のように思われている。業界トップになることが利益をエンジョイするための必要十分条件かのように思われているが、この考えが当てはまらなくなってきている。変化の大きなこの時代で、規模を追いかけると効率が逆に落ちてしまう。
 これに関しては、グラフを見せられて可也のショックを受けてしまった。
スクリーンショット(2012-07-08 15.03.03).png


 ただ、大きいことは良いことだ。神話の崩壊。環境変化の中では、規模が大きいと余計に対応が難しくなる。例 シンガポール 500万人レベルだからいろいろ変化が出来るし試せる強みが発揮できる。 という部分においては、僕自身がシンガポールに住んでいたこともあったり、昨今のインターネット絡みのビジネスを見に付け思い描いていた図式ではあった。

■”変化の方向性の画一化”とそれに伴う”危険の拡大”
 都市への集積化が進む事で、自然災害による損害額も大きくなって来ている。また、ビジネスのサプライチェインもグローバル化が進むことで1つの災害での被害額が大きくなって来ている。これは、マクロで見たときの世の中の変化の方向性が画一化されることで効率は良くなっているが、リスクも拡大していることを表している。
 例として、エアライン業界の業績変動のデータを引き合いにこの現象を紹介してもらった。エアライン業界の業績がどーんと落ち込む頻度が増えている。それをイベントリスクというらしいが、頻度は増える、さらに被害額が拡大していることが見事に表されていた。的確なデータのみせ方で僕の頭にもクリアにインプットされた。

■大きく、俯瞰的にみることでドッシリ構える事が出来る。
 近年、日本の経済状況がよくないとか、GDPで中国に抜かれたとか、韓国が。とかそいういうネガチブな発言が多く、暗い気持ちにさせられる事ばかりだが、アンガスマディソンの分析データを引用した100年、1000年単位での世界の移り変わりの歴史を見て、1980年代にJAPAN as no.1とモテハヤされ、1990年代にバブル崩壊。それからの20年間は、失われた20年とか言われて一喜一憂している自分たちが情けなく思えてくると同時に、落ち着いた気持ちになれた。ある種、楽観的になれた。全世界で皆が幸せになれる方向を模索すべきであって、国毎の幸せを憂いていても虚しい。と思えるようになった。そのための技術、外交、そして平和なのではないだろうかとつねづね思っている。

 この昨今の動きと長期的な歴史の流れ等を鑑みると、現代において日本の果たす役割は以前よりも増している気がする。平和国家だったり、あらゆる知識、文化でのリテラシーレベル(平均)の高さ、豊かさ、そしてそれらがモタラしたと考えられる少子化、高齢化、サブカルチャーの発信、そして草食系などの若い世代の特徴など。様々な面で日本は、世界の最先端を行っていると思うのだが、御立さんはどのように考えているかそうだとすると、楽観的な姿勢の大切さ。とくにリーダーには不可欠な資質。チームメンバーを萎縮させず、フルに能力を引き出す。そのためには楽観的でなければならない。という御立さんのコメントも考え合わせると、日本という国は、世界の将来のためにも楽観的でなくてはならないのではないだろうか。

 御立さんには、もう一つ伺いたい事が今になって出て来た。この考え方に同意できるのか、はたまた不賛成なのか。確認してみたくなった。

 笑いがとれそうな質問をしようか、スベキでないか。などばかり考えていた自分が今更ながら悔やまれる。この質問ならば、笑いは取れなくてもグッと来る質問に出来たのではないだろうか。そんなことを今更ながら考えてしまう。
 
■全体を通じての感想。
なんとなく、とかイメージとかではなくデータをもって起きている事、将来起きうる事を解説してもらった。グッと来っぱなしの90分間だった。

ではでは。
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