「データと実例で読む中国の現在、次の注目点」 沈才彬(シン・サイヒン)(本編) [講演会・セミナー]

2011年4月18日に開催された(株)マクロミル 第2回グローバルセミナー講演から。先日、コメントしたがこの講演会は、前回同様に質の高いものだった。大満足。

題目は、「データと実例で読む中国の現在、次の注目点」 講師は、多摩大学教授・大学院教授 沈才彬(シン・サイヒン)さん。

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内容の概要は、こんなところ。
 1.日本の東北関東大震災と中国の「反日感情」
   日本の大震災に吹き飛ばされた中国の「反日感情」
    (漁船問題などで反日感情がたかまっていた中国だが約9割の中国人は、日本を助けたい!という声に変っている。
   胡錦涛国家主席が日本大使館に異例の弔問。(本当に異例中の異例らしい。)
   援助対派遣(財的・物的支援)
   
   災害時、および災害後の日本人の対応に感心している。敬服している。日本人の民度の高さは桁違い。

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2.中国から見た、大震災による日本経済の影響
  日本の政府の対応に対する評価
   ・国民の冷静かつ秩序ある対応を絶賛!
   ・自衛隊の迅速な対応を高く評価
   ・日本政府の対応には疑問が残る
   

  中国から見た大震災の日本経済への影響
   ・今年マイナス成長の可能性が大
   ・日本国債のリスクが増大
   ・円安が不可避
   ・「失われた20年」からの脱却が遠ざかる可能性
   ・政界経済の再編が加速へ。先進国と新興国の経済格差が
    さらに縮小

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3.データと実例から見た中国の急速な台頭
  誰も予測できなかった中国の台頭(中国自身も想定していなかった。。)
  誰しもこころの準備が出来ていない。。。。
  
  オバマ大統領に高く評価される中国の企業ーサンテック社―
  (1月25日の一般教書)

  アメリカ投資家バフェット氏が投資した中国の企業ーBYDー
  (太陽電池会社のBYDが自動車を作っている。
   成長の秘訣と強さの秘密は、国際人材の登用も一つ。
   経営陣は、外国人もしくは外資系企業での経験者が大半)

  急速に台頭する中国とどう付き合うかが世界の課題。

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4.「黄金の村」・長江村のある行動で読む2011の中国経済の特徴
  
 2010年末、江蘇省江陰市長江村は、特別賞与として818戸農家に
 1戸あたり100グラム金と100グラム銀を支給。(約40,000元:60万円)
  何故金? インフレ率が高すぎる(10%)、金利が低すぎる(3.5%)
 。実質マイナス金利なので。

 この行動から発信された3つのメッセージ
  ①努力すれば、町おこしは成功できる。
  ②高度成長に伴う国民の豊かさの実現
  ③インフレ高揚によって、国内では人民元の価値が下がる。
  
 「3高」(高成長、高消費、高物価)が2011年中国経済の特徴になる。

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5.中国のこれからの注目ー「3M」に注目せよー
  
 中国の「3M」に注目せよ。
  ・マイマネー(国民の豊かさ実現。20年まで国民所得が1万ドル突破)
  ・マイカー(新車販売は、2011年2,000万台前後、20年までに3,000万台へ)
  ・マイホーム(農村部から都市部の人口大移動と若者のニーズ)

 個人消費の2大分野・車と住宅が伸びる限り、経済成長は止まらない。

 中国経済の構造的な変化に注目せよ!
    -輸出依存から内需依存への転換ー

 迫られる日本企業の中国ビジネス戦略の転換
    ー「世界の工場」から「巨大市場」としての中国を狙え!ー

 日本企業の技術力・ブランド力を活かして巨大市場を取り込むべし。

個人消費の2大分野&豊かさの象徴

   ①自動車
     「国民の夢」から「現実」へ
     今までは限られた人の(局長クラスの)特権。
      一般化が進む。普及率がまだまだ伸びる!
       (普及率:US 80%, 日本60%, 中国 6%)
    
   ②住宅
     ライフスタイル、中国人の意識の変化。
     ・農村部→都市部への人口大移動が続く。
        2000万人/年
       ・社宅→持家志向に変化している。 

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6.実例とデータで読む中国経済の強みと弱み
  
 外部危機に強く、国内「政変」に弱い中国経済の異質構造

 外部危機に強い中国経済ー共産党一党支配の強みー

  事例① 1997年 アジア通貨危機
  事例② 1990年 98年ロシア経済危機
  事例③ 2001年 アメリカITバブル崩壊
  事例④ 2008年 アメリカ発 金融危機

6.実例とデータで読む中国経済の強みと弱み
  
 外部危機に強く、国内「政変」に弱い中国経済の異質構造

 国内「政変」に弱い中国経済ー共産党一党支配の弱みー
  事例① 1967年 「文化大革命」で劉少奇国家主席が失脚(GDP成長率-7.2%)
  事例② 1990年 鄧小平氏失脚、毛沢東病死、毛の側近「4人組」逮捕(-2.7%)
  事例③ 2001年 「天安門事件」で趙紫陽失脚(GDP成長率11.3%→4.1%へ

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6.実例とデータで読む中国経済の強みと弱み
  
 外部危機に強く、国内「政変」に弱い中国経済の異質構造


 中長期的とくに注意が要る中国経済の4つのリスク
  ①2013年政権交代に伴う党内権力闘争のリスク
  ②2大「時限爆弾」:「格差」と「腐敗」
  ③アメリカによるチャイナバッシング(中国叩き)のリスク
  ④民主化リスク

7. 2020年まで一時的な挫折もあり得るが7%成長が可能。
  
 経済成長の挫折が起きてもー時的なものにとどまる理由
  ①未完の工業化(全国では、7割完成、3割未完成)
  ②未来の都市化(都市部人口47% 農村部人口53%)
  ③中間層・富裕層の急増(年収5000ドル~3万5000ドルは中間層。)

  *2020年まで年平均7%成長が可能。(これが実現するとどうなるか?)

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終わりに:いまこそ日本に必要な「親米睦中」外交戦略

 *「米中逆転」ーデータで読む日本の輸出構造の激変ー
 *データで読む日中間の相互依存関係の変化
 *3つの数字ー中国が成長すればするほど日本は儲かる。
 *中国の巨大市場を抜きにして日本経済の再建は成功しない。
 *「親米睦中」(アメリカと親しく、中国と仲良く)は日本の最善の戦略
   ・日米同盟は、日本の外交の基軸
   ・日中親睦は、日本外交の基本方針。

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量的にも質的にも大変満足出来るセミナーだった。感謝感謝。

ではでは。
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