俯瞰的な考え方、捉え方。脱「ひとり勝ち」文明論。 [書籍・雑誌]

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未来のクルマから現実のクルマへ〜Eliica開発物語〜。って講演会の題名みておっ、あの電気自動車の開発秘話みたいなのが聴けるのか?!イノベーション、イノベーションって騒がれている割には会社のなかで何も起こらない現実を感じていたので目に見える形で大きなイノベーションの応用例を見せているあの電気自動車の開発者からヒントがあればいいなと思って出かけてきました。でも、良い意味で裏切られてしまいました。今回のお話のなかで気付きにつながったことが大きく2つありましたので紹介しておきます。

今回の講師は、慶応義塾大学の清水浩教授でした。
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気付きの一つ目は、新規技術の浸透の「早さ」とそれによる市場規模の「拡大」です。
新技術がいままでの技術にくらべて格段に「使いやすい」ものである事、「安価に手に入る」ものであること。この条件を満たす事で一気に置き換えが起こる。それに要する時間は、7年。拡大という点では、市場規模が10倍に膨らむという点。CDや、デジカメがそれを裏付けるデータとして紹介されていました。なるほどです。これがガソリン自動車から電気自動車への置換えでおきるとしたら。と考えるとパーッと目の前が明るくなりますよね。
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ルームエアコンの普及率.jpg
ポイント;①これまでに社会に存在していた技術は7年間で普及(置換え)      ②これまで社会になかった技術は、20年で普及。     (③10万台/年以上が普及への目安。)

加えて、電気自動車の可能性とか現在の試作品のレベルがいいところまで来ている。という下りもしっかり説明いただいたし興味深いものでした。電気自動車の登場は、必然性をもっているな。よく考えたら19世紀に発明されたガソリンエンジン自動車がこの21世紀でまだ主流だとうのも他の産業をみるとなにやら時代遅れだと改めて感じました。(テレビだって真空管(CRT)を使ったTVからLCDテレビ(半導体)に一気に変わっていっている。)清水浩さんの言葉を借りると、使いやすくて、価格が安くなることで古い技術が新しい技術に置き換えられる。確かにその通りですね。レコードがCDに置き換えられたのもそうだし、フィルムカメラがデジタルカメラに。で、いまガソリンエンジン車が電気自動車に置き換えられるか?というタイミングに差し掛かっている。
その置換えの条件である、「使いやすく」というのは、かなり現実を帯びてきている。というのを清水さんたちは、Eliicaで見せられた。とコメントされていました。
自動車でこの「使いやすさ」を表現するには、下記3要素とのこと。
1.加速感
2.乗り心地
3.広さ
要は、この3要素がガソリン車を超えればよい。ということ。で、このEliicaでリアリティを見せようと焦点を合わせたのがスピード。最高速度だそうです。これいろんな商品、サービスにも応用が効くので引用しておきます。
新しい自動車を見せたらだいたい質問される内容は(3つぐらいしかない。)
1.(最高)速度はどれくらい?
2.いつ発売されるの?
3.で、価格はいくら?
どんな製品、サービスでも一般的に興味を持たれる内容ってこういう風にトップ3項目に集約される筈です。それを意識してアピールするのが効率的ですね。Selling Message売り文句(殺し文句)を考える際にも意識したい事ですね。もちろん企画段階でそれが意識されていないと問題外ということになりますがね。で、清水さんたちは最高時速にこだわった。(400km/h目標で370km/hを達成!)

プレゼンの内容も良かった。たとえば、こういうのをビデオで紹介。例として、
■加速性能、最高速度のアピールのための対決
ポルシェ911(ドライバー片山右京=プロ)vs Eliica(ドライバー清水教授=素人=誰でも簡単)
しっかりリアリティが表現されていました。YouTubeにも動画が上がっていたようですが今は、削除されているので紹介出来ないのが残念です。出だし4秒間の加速略おなじ、それ以降はEliicaがポルシェをぶち抜く。これは圧巻でしたね。それもドライバーが素人の清水さんが片山右京さんに勝つ!
ってのが良かった。

ここからは、本日2つ目の気づきに関してです。
これが実は、僕にとっては想定外のボーナス的な気付きでした。これがこの記事の題名にもなっています。日本人は、自信を失っているとか、活力を取り戻すにはどうしたら良いかとか、21世紀に夢を持てないとかいろいろ言われていますよね。ですががそんな事は無い。悲観的になるどころかチャンス到来だと。20世紀はいい時代。だと言っても世界総人口の10%の人にとっていい時代だったにすぎず、21世紀は、全世界の全員にとってよい時代に出来る。というのです。そういう技術ネタを日本はたくさん持っている。日本の技術がそれを支える。という話です。先ほどの電気自動車の例をとってもコア技術のリチウムイオン電池は、吉野彰さん(旭化成フェロー)、ネオジウム鉄磁石は、佐川眞人さんが発明している。新技術が必要とされそれが普及すると市場は10倍に膨れ上がる。だだ、現実論日本が独走出来る事は難しく、もしかしたら中国や、韓国、それ以外の国にトップの座は穫られてしまう可能性は大きい。だが、10倍になれば、トップに君臨出来なくても十分に幸せな国でいられる。というのです。そのグローバル化と大きくなっていく市場でみんなでいい時代にしていく。というものの見方に大変共感を覚えました。昨今は、国内市場が活発じゃないこともあって、Based Of Pyramid (未開拓マーケット)の開発に目がいく。そういう議論が多くなっています。だだ、残念なことに自分の会社の活路はどこにあるのか。厳しい競争がしいられるなかで新規マーケットの開拓が必要。という小さな見方が主流だということに残念さと限界を感じます。もっと、俯瞰的にもの事を捉えて中長期で物事を考えないと逆にこのグローバルな社会では存在意義のない企業、国として存在が危ぶまれるとおもうのです。ここ数十年間で起きている事にとどまらず、100年単位で何が起きてきたのか。そしてこのあと100年、200年後にどうあるべきか。ありたいかを考えながら、だから今我々はどうあるべきかというビジネスビジョンを企業の経営陣は真剣に考える時にきているのではないでしょうか。そういう視点をもっていないと変化に着いていけないとおもうのです。vision_image.png
清水浩さんは、ベネッセの会長福武総一郎さんにアドバイスをもらって、Sim-Drive http://www.sim-drive.com/
を設立されたそうです。そういう俯瞰的な考えを持って始められた事業とのことでした。自国のましてや自己の営利に捕われることなく、皆でいい時代にしていきたい。そういう思いから始めた。この技術に関心があって、電気自動車の開発に参画、事業化したい企業にたいしては大きく門戸を開いている(まさしく、オープンソースの実践ですね)。実際、ドイツ、中国の企業ともやりとりし始めているそうです。(参加費2000万円)企業として人として理念が崇高であることはこれから益々重要な要素になっていくと思います。それでしか価値が出せなくなっていくのではないでしょうか?そいういう意味でこれからも清水さんたちの活動に注目ですね。

僕ももっとインスパイアされたくて購入しました。

脱「ひとり勝ち」文明論

脱「ひとり勝ち」文明論

  • 作者: 清水 浩
  • 出版社/メーカー: ミシマ社
  • 発売日: 2009/06/05
  • メディア: 単行本



(慶應義塾大学 自動車研究室;清水浩教授 http://www.eliica.com/ ツクヅク思いますが産学協同ってもっとやれば良いと思います。清水さんの研究室ほどではなかったですが僕の所属していた研究室も院生一人に一企業。テーマを決めて共同研究。企業からは、研究費用と実用化にむけての課題とかテーマが出される。学生からは、アイディアと体力(笑)が提供される。という図式ですがなにが良いかというと実際のアプリケーションが明確になっていることで単なる研究にとどまらず、マーケティングを意識した研究への姿勢とアウトプットを念頭においた切磋琢磨が起きることです。この2月にも出身研究室のOB会に久しぶりに参加しましたが、その体質がカルチャーとして根付いていることを再認識できてうれしかったです。広報活動も欠かしていない。研究室の先輩がいま、(ぼくが所属した研究室の兄弟研究室)教授やっているのですがテレビ出演も何度かやってました。一つには大学および研究室の宣伝。ひとつには、所属学生にマーケティングマインドを植え付けること。そういうことって大事だとおもうのです。産業面、学術面の双方で活性化が不足していると思うのです。頑張って欲しいですね。お金をつくって、僕も私塾をやってみたいですね。それも新しい概念のものを。)

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