「考えるよりも感じることを大切にしなさい」(桜井章一さん) [書籍・雑誌]

自己嫌悪に苛まれている。
そんな自分を取り持とすために手にしている本「心に余裕がある人」になる自分の磨き方(辻秀一さん著)。なんだか、題名そのものがズバリいまの自分を言いえていて人前でこの本を開くのが恥ずかしい。いまの自分は正に”余裕が無い人”だからだ。



結果が出ない。(他人に)認められない。辻秀一さん流に言うところの結果ばかりを気にして、(プロセスを軽んじる、他人、周りへの配慮に欠ける)「結果エントリー」の状態。チームとしてのパフォーマンスも最大化出来ないし、自分自身の成果も今一歩。 ひとつなにか結果さえでれば、誰かに認められさえすればこのネガティブスパイラルから抜けられるのに。。。。そんな風に考えてしまっている自分がいた。でも、それこそ、まさに「結果エントリー」の状態。結果を求めようとすればするほど、結果が出ない。という悪循環を生んでいるのだ。

その負の連鎖を断ち切るには、「心エントリー」の状態にならないといけない。以前も、辻さんの著書を読んだり、講演会に出向いて理解していたつもり。多少の実践もしていたのにいつの間にか忘れていた。足りなかったのは、継続性。「心エントリー」の状態をつくるためには、日々の鍛錬こそが重要だということを忘れていたようだ。

なんだか、ピンとこない人のためにこの「心エントリー」に触れてみたいと思う。

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”心エントリー”とは、心の状態をFlow状態にすることを重んじることです。
”結果エントリー”とは、「何を」にばかり注力し、心の状態を意識しないことです。この場合、一時的に結果は出たとしても、ストレスを抱えてしまいます。自分らしさが出しにくくなり、結果もついてきにくくなってしまいます。
パフォーマンスは、「何を」と「どうやって(心の状態)」でできているので、心の状態が悪ければ結果はついてきません
[2]

つまり、結果を出すためには、心の状態を管理することが大切。望む結果を思い浮かべて心が”とらわれた”状態になっていると固くなってしまっていつものパフォーマンスが出せなくなってしまう。また、なにか不都合な事が発生したときに、それによって心が”ゆらいだ”状態になってもパフォーマンスが出せなくなる。例えば、どこかへの移動に電車を利用したとしよう。なにかの原因でその電車が時刻通りに出なかったとする。延々出発しなかったとする。それにイライラしてしまうと、ただただ無駄に電車のなかでイライラし続ける無駄な時間を過ごしてしまうことになる。そんな心の”ゆらぐ”状態を引きずるのではなく、”ゆらがれない”平常心を保てれば、自分ではコントロールしようがない。慌ててもしょうがないから本でも読もう。ということになる。そうすれば、電車が遅延した分の時間は読書という時間に有効に活用できることになる。

心エントリーとは、心の状態をFlow状態にすることを重んじること。そのために、心を”ゆらがず・とらわれず”の状態”
”いつも心に余裕のある状態”を保つように自分を鍛えることである。

昔なら、宮本武蔵。現代だと、イチロー、羽生名人、水泳の北島康介選手、雀鬼 桜井章一さんなどがその「いつも心に余裕のある人たち」であり、「心エントリー」な生き方が出来ている人たちと言える。彼らに共通しているのは、”いつも心に余裕がある。” 生き方が心エントリーな生き方になっている人たち。結果として、常に高いパフォーマンスが発揮されている人たちである。例え、競技で負けたとしても”ゆらがず、とらわれない”平常心と”今を生きる”ことを大切にしている人たちでもある。彼らの言葉には、それが見事に現れている。というのが辻さんの弁。その指摘のいくつかをここにピックアップしておきたい。

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「それ(謙虚)によって技術が磨かれるのです。肉体的なことを言えば、力まないというか。全力で投げても、けっして身体は凝り固まっていないような状態で投げるのです(中略)自然に身を任せるという
感じですね。力まず、自然に投げることができればおのずと良い結果も出せるようになるのです」室伏広治選手 (「ドクターアミノのアミノエビデンス」HP)

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「2009年(ロンドン世界選手権)の時は、(金を)取りにいって取った試合をしたんですが、金メダルを取りにいくというのは、僕の中でちょっとそれは雑念だと思うんです。結果、平行棒で失敗も出したし、あまり自分の中でいい演技じゃなかったけれど、結果は金メダルだったんです。だからオランダ(2010年ロッテルダム選手権)の時は、そういう考えを本当になくして、自分の演技をすることだけを考えてやりましたね」 内村航平選手

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剣道家 栄花直輝さんも、心の存在と価値を忘れないように自分を磨き続けるために「三感」を大切にしているそうだ。「感動、感心、感謝」。この3つを意識していることで、常に「心の存在と価値を忘れない」と栄花さんは言っているそうだ。感じることを大切にすることで、認知による出来事にとらわれることがなくなるのだろう。と辻さんもコメントしている。

栄花さんと辻さんとの印象深いやりとりに関しても記載があった。
私(辻さん)が「剣道の試合で対峙したときに、相手が手ごわいのかどうかわかるんですか?」と訪ねたところ、栄花氏は即答したそうだ。

「座っているだけでわかります」

「どうしてですか?」

「『座る』という行動の裏側には必ず心の状態があります。その心のレベルが『座る』という行動にも必ず現れるものです」

24時間、ひとはなんらかの行動をしている。その行動の質を24時間にわたって心の状態が大きく規定しているという事実を、栄花さんは常に意識している。ということだと辻さんは解説している。


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栄花直輝選手



『剣道をオリンピック種目にしようという意見が唱えられるようになった。これに対し全日本剣道連盟は、剣道がオリンピック種目になれば勝利至上主義や商業主義に陥り、剣道の持つ武道的特性が失われるとして、現在まで反対の立場をとっている。』『打って反省、打たれて感謝』剣道にまつわる話は、強さと正しさの違いを説くものが多い。

「恐れず、客観的に、相手の立場になること。そうすると自分自身や相手、場によって生み出された、勝負を複雑にする雰囲気から距離を置くことができ、結果に繋がる道筋がみえてきます」 羽生善治名人 (『結果を出し続けるために』)

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「認知脳による判断よりも、心を整えたあとに感じる直感のほうが正解を導いてくれることが多々ある」これは羽生名人の言葉を辻さん流に表現した言葉だそうだが、なかなか興味深い。

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(羽生名人が大切にしていることば”玲瓏” 玉などが曇りなく透き通るように美しいさま 「ゆらがず・とらわれず」の心の状態にも相通じる)

「勝負をしているときに出る「余裕だよ」という言葉には、得てして「楽勝」というニュアンスが含まれている気がしてならない。だが、それは私の言いたい「余裕」とはまったく異なる。「楽勝」という思いからくる「余裕」とは、単なる油断でしかない。日頃から「準備・実行・後始末」の鍛錬を積んだ上で、敵に「どうぞ」と言えるのが本当の「余裕」だ。本当に強くないと口にはできないことである」 桜井章一さん(負けない技術)

勝負師としてのメッセージ。「型にこだわると弱くなる」この言葉を聞くと、
「戦略がないのが戦略」「既存のフレームワークによる分析は、非実践的」のような言葉を思い出してしまう。
「考えるよりも感じることを大切にしなくてはならない」先に述べた、羽生名人同様、桜井章一さんも言っているようだ。
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だからこそ、僕もビジネス、マーケティング、組織、人材を考える上で、”脳科学”には大いに興味がある。が、それ以上に”心”とはなにか。をもっともっと意識したいと思うのである。

ではでは。

[1]

「心に余裕がある人」になる自分の磨き方 ~一流の勝負師に学び、いつも平常心を保つ~

「心に余裕がある人」になる自分の磨き方 ~一流の勝負師に学び、いつも平常心を保つ~

  • 作者: 辻 秀一
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2012/03/25
  • メディア: 新書



[2] スポーツドクター辻秀一オフィシャルサイト
http://www.doctor-tsuji.com/method/


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