好きな会社のために、世の中の人たちを幸せにするために”滅私奉公” と自分に言い聞かせながらも、自分自身のこともやはり可愛い。(僕もやはり凡人) [書籍・雑誌]

アイディアだけでは、評価されない。行動に移してそして、結果を出して初めて評価される。たしかにそのとおりだと思う。これは、商品や、技術的な話だけではなく、日常業務、ましてや事業計画など会社の戦略立案、実行などにおいてもそれが言える。

 目を引くような商品が世の中に出る。コロンブスの卵どころか、その商品像そのものを描いているひとは意外にいたりする。僕にもそういう時があるぐらいだ。だが、そのアイディアを商品化に結び付けられるかどうかは、アイディアだけでは足りない。企業の場合は、同僚や、他の部署、部門を巻き込み、そしてよしやろう。という組織としての総意が不可欠だ。(もちろん全員が賛成していなくても、肝になるメンバーを動かせれば、最終決定者の賛同をもらえれば良し。となる。)



 先日も触れた、トヨタの生産システムの産みの親でありカリスマ指導者だった大野耐一さんや、豊田喜一郎さんの言葉をまとめた『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(若松義人著)などにも、

「一般に日本の技術者は机上の技術者が多い。海外の知識は相当に取り入れていているも、いざこれを実行するとなると自信を失い、他人の批判を恐れて断行する力に欠ける。こういう技術者では自動車は出来ぬ。この事業を完成させるには、断行力をもった勇気のある実行型の技術者であるとともに、他より知識をとりいれることには人後におちない、意欲的な技術者でなくてはならぬ」(豊田喜一郎さん 昭和22年当時)

「とかく高学歴の人は、見たり聞いいたりした理論、知識に頼りがちで、自分の手で試すのが苦手。あるいはこれを低く見たりする。しかし、どんな最新理論、最新知識も所詮は過去の遺産。目の前で起きていること、手がしっていること(試したこと)にこそ、あたらしい価値があるものだ」(本田宗一郎さん)

これらを評して
「術を語る「技述者になるな」。術には、行動が必要である」(大野耐一さん)
と言ったそうだ。[1]

 話を戻すと、この手の話は世の中に出す商品、サービスなどに限らず、社内での活動(事業指針、事業戦略など)にも当てはまる。このビジネスは、この方向に進むのが良いと思う。自分ならこのビジネスはこうするなあ。という話をよく耳にする。が、あくまで”飲み会の席”での話だったり、職場の雑談で終わってしまうことが多い。もちろん、組織で動いている以上、最終決定者が存在する。それに近いポジションの人間ならアイディアを動かしやすい。そうでなければ、アイディアがあってもどう動けば動かせるのか? はたまた自分が、動きをつくれるのかどうなのかすら怪しいと考えてしまうのが一般的な社員、サラリーマンの発想だろう。

 ベンチャー期の企業においては、階層が浅いので上下関係も少なく風通しが良いのでこれが課題になることはない。組織が多くなり階層を深く作ってしまうことで生まれやすい障壁である。加えて、社員側のひとりひとりも、この会社は自分が背負っている。自分がこの局面を変えてやる!という半ば勘違いにも近い気概をもった社員で満ち溢れていたものだ。

 ぼくも2、3年前にいまの部署に異動してきたときに「この会社を変えてみせます!」と自己紹介した。その際の周りの反応が冷たかったのを覚えている。本人である自分自身は大真面目だったが。異動するまえの1,2年と異動してからの2、3年ほぼ、これで5年間を経過するが、それなりに自分では、会社、事業本部にインパクトを与える提案をしてきた。各々の提案が会社、事業本部にとって手付かずの部分だったので実績、担当者すら不在だった。自分で自ら実行に移してきた。その提案が1年に1つはあったので、所属する部署のミッションを新たに定義しなおしてもらったり、部署をお越してもらって部門内異動もしてきた。

 異動してきた際に提案した内容がほぼ、事業本部の事業戦略の骨子になっている。が、あまり世間にはそれが知られていない。あの時の提案がなかったらどうなっていたんだろうか?(少なくとも部門長の立場はどうなっていただろうか?)

事業計画提案、事業戦略、部門戦略を考え、提案するのは僕の業務ではない。業務でないことをやっても評価されない。ということなのか、それが如何に大切なことであったとしても。(大いに悩む。人事も、マネージメント層もそれを拾う努力をしないでどうするのだろうか。既存の組織体系ではほころびがあるから変革が必要なのに。その変革は、誰が何をやる。やるべきだ。と固定した時点で機能しなくなるのは間違いがない。門外漢の僕が戦略骨子を作ったからこそ、打開策に繋がっている。と思うのだ。だが、くどいが評価されない。)

ひとつには、僕からの提案がなくても”俺も考えていた”、”以前も試みたことがある” ということでオリジナリティを認めてもらえなかったのだろう。だが、自らの行動で形にしてきたという点は高く評価されてもよいのではとつくづく思う。この5年間というもの、会社と事業本部を変えるためにアイディアと行動で全力を尽くしてきたがもう疲れた。


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人に評価されるためにやってきたんじゃない。んじゃないの?変革のミドル[2]を標榜してたんじゃないの?
確かに、そう思えるようになりたい。そう思っていた部分もあるが、自分の人生も冷静に考えるべきときにきているようにも思うのだ。
(同様のことが、海外拠点で業務していたときにもあった。当時すくなくとも2販社を救ったがあるが評価されていないからだ。)





人間2つの思考を都合のいいように使っている。という。たしかに、ぼくもその類。凡人である。
好きな会社のために、世の中の人たちを幸せにするために”滅私奉公” と自分に言い聞かせながらも、
自分が可愛い。という自分もそこにいる。

朱子学(論語、大学・中庸)に触れよう。いまのままでは、自分自身を嫌いになってしまう。

ではでは。

[1]

「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術 (成美文庫)

「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術 (成美文庫)

  • 作者: 若松 義人
  • 出版社/メーカー: 成美堂出版
  • 発売日: 2002/01/31
  • メディア: 文庫



[2]

変革型ミドルのための経営実学―「インテグレーションマネジメント」のすすめ

変革型ミドルのための経営実学―「インテグレーションマネジメント」のすすめ

  • 作者: 橋本 忠夫
  • 出版社/メーカー: 芙蓉書房出版
  • 発売日: 2010/12/24
  • メディア: 単行本



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