生産国と仕様の関係。(グローバル戦略考) [よもやま話]

 最近、New Balanceのシューズが気になってしょうがない。そんなことを先日も書いた。ここ2、3年はあまり物欲に火が着く事が無かったのだが、ここに来てという感じ。なんか明日にでも購入しそうで怖い。

で、その関心事から話を始める。流石にシューズが気になってしょうがない状態なので電車に乗っても街の中をあるいていても他人の履いているシューズが気になる。よく見ると(また流行に鈍感だからタイムラグはあるだろうが)昨今は、以前流行っていたモデルのシューズを見かけるように思うNew Balanceに限らず。例えば、ナイキ。

クラッシックなモデル、レプリカというか復刻版として商品を出しているようだ。ナイキといえば、僕が初めて目にしたのは、中学校1年だったか2年の頃。1970年代前半。先輩がなんか観た事がないデザインのシューズを履いていてそのシュースは、NIKEと書いてナイキだという。当時は、今のようにネットなど無い時代。口コミか雑誌(その当時はまだ読んでなかったがポパイ、ホットドックプレス、メンズクラブなど)が情報源だった。(田舎育ちだからその辺の情報が来るのも遅かったと思う。)

その当時のデザインをいま街のなかでみかける。(2、3年前から復刻版らしきものを観たような気がするがココ最近は、多くなっているのだろう。)かかとのロゴの形、タンについているタグがロゴ黒、マークがオレンジという組み合わせが懐かしい。

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で、これも良くしられていることだが、ナイキは当初、アシックス(当時オニツカタイガー)に製造依頼をして生産をしていた。つまりMade In Japanだった(筈)。今では、ナイキの方がビジネス規模が大きいが当時は、ナイキはベンチャー企業、規模もかなり小さかった。ナイキの創業者が行ったブランドアンバサダーともいえる各種競技のトップ選手と契約を結んで商品開発&広告塔にする戦略は、鬼塚さんから学んだともいわれている。ナイキは、既にトップランキングの選手のみならず、青田刈り(将来性のある青少年に投資)で大規模にこの手法を取り入れて行った結果が現在のナイキの大成功に繋がっている。といわれる。

ここでテーマにしたいのは、生産国である。ナイキに限らず、アディダスなど対外のシューズブランドは、労働賃金が安価な国で生産をしている。戦後は日本、そのあとは台湾や韓国、それが、中国、インドネシア、ベトナム、いまではバングラディッシュあたりに移動していっている。それがスポーツシューズの歴史である。

一重にシューズの製造がいかに手作業が多いか、そして接着剤などを無数に使う厳しい労働環境をしいる業種であるか。ということがそこからも憶測できるであろう。ただ、各ブランドも生産国をただ移動させているだけではない。ここがポイントである。複雑な手の込んだ製造をフランスや日本で製造していた際には行っていたモデルも、新興国に生産国を移動するにあたりシューズの設計を変更していることが多い。そもそも生産国を移動させることの理由がコストダウンにあるので構造が単純な設計に変更する。加えて、複雑な工程を新興国でオペレーションさせることの難しさからも構造、パーツ、縫製などがシンプルになるように変更するのだと理解している。

結果、製品自体は安くなりより多くのユーザーを掴むことになるのだが、商品性としての価値、魅力に変化が起きる場合が多い。例;アディダスのスーパースター、スタンスミス、カントリー。名器中の名器。1975年当時で1万5千円位したのが、いまは1万円しない。だが、明らかに木型も素材もちがう。忠実な復刻版なら3万円だしても欲しいこの2つのモデル。比較的こういう生産国の移転を上手くやっていると思っているのがコンバース。バッシュや、ジャックパーセルなど確かにMade In USの頃から見ると変更もあるが許せる範囲だ。(だが、実態はコンバース社が2001年に倒産。それによりMade In USが終了。価格競争力の実現を目指して海外に生産を移した。というのが背景。でも、原型から形を変えていない点が好印象。)

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同じ話を自動車に置き換えると、もっと多様な話になる。僕の憧れブランドBMW。あまりにも手が届かないので3シリーズにしか興味が湧かないが、その3シリーズは基本南アフリカ共和国生産。というではないか。だからといって品質に問題があるとは言わないがちょっと残念。純粋なMade In Germanny ではないというのは寂しい。(ラグジュアリーブランドの鉄則として、生産国は動かしてはいけない。どころか、工場の場所を移転させてはならぬ。というのがある。まあ、その定義からするとBMWは、ラグジュアリーブランドとプレミアムブランドの中間みたいな位置づけなのでありなのかもしれない。フェラーリーなどとはポジショニングが違う。)

自動車ついでに。VW(フォルクスワーゲン)は、その点グローバル展開に向いた設計思想をそもそも持ち合わせた企業という理解。僕はそんなにクルマのことに詳しくはないが、クルマをみた印象としてVWのクルマは組み立て作業がシンプルでシャシー(台車)が共通化されている。というのが僕のVWのクルマへの理解である。これは実は凄いことで、それなりにプレミアム価格が付けられて、ブランド力もある。その設計思想が先だとおもうのだが、その結果として何処の国でも製造可能。結果、中国でドイツ車、そのなかでも特にVWが強い勢力を持っている。ただ、いくつかの仕掛けや背景もあるようである。

仕掛けは、投入モデル。必ず中国市場で売るモデルは2世代モデル以前のもの。一つは、部品調達含めてハードルが低いこと。一つは、製造技術の最先端を中国にもちこみ盗まれたくない。というものがあるように思う。加えて、ドイツブランドは、中国市場を獲得することが死活問題でもある。自動車業界のグローバル化が進むにつれて、ブランドの集約化が進む。当然、規模の優位性が働く業界なので大きくならないと生き残れない。というのが大方の見方。だが、ドイツブランドは、日本の自動車ブランドとことなり、全世界でビジネスをしている。という企業が少ない。ヨーロッパでヨーロッパブランドがつよいが、それ以外の市場では規模は小さい。残された大規模市場、中国、インドで必死になるのも分かる。何れにしても、自動車をよりコモディティ化することでより多くの人たちを幸せにすることに意義を感じるのであれば、VWのようなアプローチは正しい。と考える。

ここで、シューズに話を戻すとナイキの復刻版はそれなりに忠実に作ろうとしている気配。だが、生産国への拘りは無さそうである。そこで異彩を放つのが、New Balance.これが僕がNew Balanceに入れこむ理由の一つ。ビンテージモデル(復刻版)および、フラッグシップモデルに関しては、オリジナルであるMade In US製で生産をおこなっている。また、本来靴生産や、クラフトマンシップで有名な英国との間での国貿易摩擦を避けるためにも、Made In UKモデルも製造を続けている。

 勿論、素材に拘り、手間ひまかけた肯定でつくりだされるNew Balanceが高価だというのも理解出来る。量産ブランドでありながら他社とも一線をかく。

細かいことは一切ぬいて。やはりますます、欲しくなってきたNew Balance M1400.

ではでは。

[1]世界のアディダスコレクター5名が創る復刻モデル、発売。
http://www.houyhnhnm.jp/fashion/news/adidas-condortium-collectors-project.html

[2]アディダス「スタンスミス」復刻!ニューバランスとどっち?
http://iphone-android.biz/19.html
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