【大事にしたい会社を探して】  法政大学大学院教授 坂本光司さん [新聞]

グッときたのでついつい転記してしまいました。

朝日新聞 2012日3月31日(土) be on Saturday
文:立松真文

【大事にしたい会社を探して】
 法政大学大学院教授 坂本光司さん

良い会社とは何か。そのもの差しを変えるべきだ。日本の会社の99%を占める中小企業をフィールドワークにしてきた
経営学者のメッセージが脚光を浴びている。
自ら訪ねた6000社超の情報をもとにした「日本で一番大切にしたい会社」は、2008年の刊行以来、じわじわ反響が広がった。昨年12月刊行のシリーズ第三弾まで、累計の発行部数は60万部を超えた。

取り上げているのは、世界に誇る技術をもった町工場でも、大ヒット商品を生み出した会社でもない。安定した業績を上げながら、「徹底的に人を大切にする経営」を実践している会社ばかりだ。
 障害者雇用率が7割を超えるチョーク製造の日本理化学工業(神奈川県)、使う側の視点にたったものづくりに挑む義肢装具メーカーの中村ブレイス(島根県)、創業以来、一度も社員のリストラをせず48年連続で増収増益を達成した伊那食品工業(長野)......
10年には、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞も創設した。人員整理しない、下請けにコストダウンを強制しない、法定の障害者雇用率を上回る、重大な労災がない、そして黒字経営。すべての条件を満たす会社から、優良な企業を表彰する。
 根底には、「「正しい経営」をしている会社に光をあてたい」という思いがある。
 「正しさ」の基準はシンプル。会社に関わる「5人」を重視する経営だという。社員とその家族、外注先、下請け企業、顧客、地域社会、最後に株主。この優先順位にこを意味がある。と強調する。賛美されがちな「顧客第一主義」も肯定しない。
 「顧客に商品やサービスを提供するのは社員。顧客の事を考えるより、社員の幸せを真っ先に考えるのが経営者の仕事」と言い切る。

 「弱気を助ける」が身についた性分のようだ。1970年に大学を卒業後、郷里・静岡に帰り、県の産業支援機関に入った。地場企業を回る仕事を任させられると、同僚が1日2社訪ねるところ、夜遅くまで7、8社訪問した。
 「涙と汗にまみれた」中小企業の現場は、驚きの連続だった。大企業に一方的なコストダウンを迫られ苦しむ経営社、その下で爪の仲間で真っ黒にして働く工員。理不尽な現実に怒りを覚え、何とか力になりたい、と奔走した。時には商談に付き添い、資金繰り表を作って銀行との交渉を手助けするなど、仕事の枠を超え、つきあった。
 87年、中小企業の国際化に関する論文が懸賞論文の最優秀作に選ばれ、翌年、大学教員に転身。以来、「現場から学ぶ」をモットーに研究を続けてきた。著者が注目を集めて、講演に全国を飛び回る日々。それでも、分刻みの日程の合間を縫い、週二回の会社訪問を続ける。

 「社員第一主義なんてきれいごと」という声には、こう反論する。
「社員を大切にしている会社はどこも好業績です。私が語っていることは、理想でも理論でもない。この目で見てきた現実なのです。」

この続きもあした。
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日本でいちばん大切にしたい会社

日本でいちばん大切にしたい会社

  • 作者: 坂本 光司
  • 出版社/メーカー: あさ出版
  • 発売日: 2008/03/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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