【目的合理よりも価値合理】 でも、価値ってなんだろうか。 [講義・授業]

ここでは一見、相反するような案件を同じ土俵で考察することで自分なりの理解を深める。そんなチャレンジをしてみたいと思う。
学び、気付きは、西條剛央先生と、高橋俊介先生、柳孝一先生、枝川義邦先生、インサイトの桶谷功さんから別々の機会に頂いたものである。それを自分なりの理解でぶつけたり、結びつけたりする作業をしてみる。(本当は、これを西條先生への最終課題レポートにしたかった。反省。)

【人間はなぜ不合理な行動(失敗)をするのか?】
•性善説と性悪説。

•構造構成主義(関心相関的)観点からいえば、「人間はすべて最初から善なる存在である」という性善説も、「人間はすべて最初から悪い存在である」という性悪説も、どちらも絶対性が織り込まれている「根本仮説」ということになる。(絶対性が織り込まれている=「根本仮説」が入っている自体、論理に矛盾が存在する。という話。)

•関心相関的観点からいえば、そもそも善い、悪い、ということ自体が身体や欲望、関心に応じて決まってくるため、どちらの説も最初から成立しない、ということになる。
•「会計士」人間の本能は、抑えきれないほど強いものなのか?
•人間は欲望存在である、という前提に立って、それでもうまくいくような仕組みにする必要がある。
•「考えない」と考えることで、余計なことを考えないということはできる。
•(完全な)フェアであることはむずかしい。人間は欲望存在なので(機械じゃないので)、フェアであろうとしてもどうしても偏るのが自然。大事なことはそのことを自覚したうえで、結果としてそういう形に近づけようという視点をもっているかどうか。

*この話を聞いていて僕自身、京セラの稲盛和夫さんとCoCo壱番屋の宗次徳二さんを想起した。
まず、稲盛さんの話から。

 稲盛さんは、「それは人間として正しいのか」で判断する。 と聞いたことがある。実際は、彼の著書であり、かれの会計思想を綴った「実学」を読んで知ったのだがここでも「人間として何が正しいかで判断する。」が大前提に掲げられている。会計の規則がどうなっているか以前にあくまで人間として正しく。というのが会計処理においてもて徹底されているのが稲盛流。
 正しさ、厳しさを徹底しているだけではない。罪を憎んで人は憎まないのが稲盛さん。それが何よりも顕著にあらわれているのが「人に罪をつくらせない」ことを常に考えているところだ。よく言う「ダブルチェック」だが、彼の場合はダブルチェックは、間違いの発見や、その防止のテクニックとは考えていない。厳しいシステムがあることによって社員が罪をつくらないように未然に防止する。緊張感のあるきびきびとした職場の雰囲気を醸し出させるためだというのだ。性善説か性悪説かと言えば、きっと性悪説ということになろうが、それに対応すべき仕組みを徹底しているのが稲盛和夫さん。(「実学」P110辺を参照)


稲盛和夫の実学―経営と会計

稲盛和夫の実学―経営と会計

  • 作者: 稲盛 和夫
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 1998/10
  • メディア: 単行本



 CoCo壱番屋の宗次徳二さんの場合は、とにかく率先垂範型。誰よりもとにかく働く。働いているという自負があるそうだ。それも継続的に。宗次さん曰く、「2:6:2」の法則ですよ。現役経営者の頃は、そんな風には言う気持ちの余裕は無かったようだが、経験から来る数字。見本を見せるとそれに反応して従ってくれるのは全体の2割。だけど、会社の中で2割が本気で取り組んでくれたら凄い力になる。成果は出るとのこと。そういう経営者が引っ張る会社だからこそ、創業以来ずっと右肩上がり成長。波がない。なんか、性善説とか、性悪説とかっていう領域ではない。正しいことを正しくやる。その姿をみて従いてくるものもあれば、ニュートラルな者もいる。批判的なモノすらいるそれが現実。といういたって自然体な考えかたに思う。ただ、誤解がないように、宗次さんの何かをする。はハンパがない。徹底的にかつ例外なく、そしてとてつもなく継続的にやり続ける。詳しくは、先日の記事を参照されたし。http://mike-shimada.blog.so-net.ne.jp/2012-01-25

翻って言うと、よくITC系のベンチャーが出だしはいいが途中でおかしくなる例が多いが、柳先生もおっしゃっていたが、成功し始めると経営者の人間性が狂い始める。ちやほやしすぎる周りも悪いが本人がどっしりしていないから浮いたこと、派手な振る舞いをしはじめて原点を忘れる。で結局会社がダメになる。ダメになり始めるとマスコミ含めて皆で必要以上に叩く。もう立ち直れない。という図式が成り立っているのだろう。どの業界においても経営者の立ち振る舞いは大切。人間性が結局企業、組織のあり方を決めてしまうのだろう。
「自分の背中を見てみんなが付いてくる」「正しいと思うことをずっと続けるひと」がいる会社は波が少ない。 ということだ。

この話を授業でしたとき、西條先生がこういうコメントをくれた。
「糸井重里さんの言葉に、「正しいことをしているときほど気をつけなければならない」とうのがある。と。なにやら深い言葉だ。
独善的になりやすいということだろう。正しい、正しくない。というのもある価値観の基に分類される。視点、立場、価値観などが違うと評価が分かれる。物事なんでも信じきって疑わなくなるというのは危険なのかもしれない。

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【一見矛盾しているようだが、双方正しいと思う。】
高橋俊介先生のお話からの引用だ。

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現代のキャリア形成において起きていることとは?
先行き不透明になり求められることが複雑化、高度化している。
①想定外の変化が起きる仕事環境(予測可能性が低い)
②同時に深い専門性が求められる。単なるジェネラリストでは
  太刀打ちできない分野が増えている。
  全く別の違ったベクトルを持つ専門性を
  複数持つことが求められる。
  (例えば、「システムエンジニアとしての専門性」 +「中国語」など直接の関連性がなければ無いほど良い)

現代のキャリア形成において起きていることとは?
①想定外の変化が起きる仕事環境(予測可能性が低い)
  突然、会社がなくなったり。部署毎違う会社になったり。
  もう少し突っ込んでみると、こんな話。
  管理可能性・予測可能性って?!

例えば、
 高い物→試験! 傾向性があって努力の方向性も明確。 日程も決まってますしね。
                      
 低い物→育児! こうやればいい。という答えが無い。
            例えば、どう育てたらどういう子供になる。どういう子供にしたら良い?答えないですよね。
                      
現代のキャリア形成において起きていることとは?
③成長曲線は階段的なものから「のこぎり型」へ

ビジネスだろうと、スポーツだろうと成功している人に聞くと詰まる所こういう話。
利益が目的。それはいいけど実は息詰まる。
正しい事を正しくやる。遣り続けると結果(利益)に繋がる。

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【目的合理よりも価値合理】

”価値合理” (正しいから、大切だからやる。何のためにとかは考えない。)
”目的合理” (目的に合わせてやる。目的を達成する為にやる。)

柳孝一先生は、こんな話をしてくれた。【目的合理】とか【価値合理】なんて言葉は、当然使っていないが、その観点でGEジャックウエルチの事例を観てみたい。

企業革命を成し遂げた
ジャックウェルチもトレーニング(Off the Job Training)を重要視した。
戦略を変えることで組織(意識)を変えた事例としては、GE ウェルチ
 ①中核事業領域、
 ②ハイテク事業領域、
 ③サービス
 No.1もしくはNo2に成れる可能性のないものは止める。
 (とくに家電事業を売る。という事に関しては相当な抵抗があったはず。)
 軍事事業も止めた。代わりにヘルス事業、金融事業を買った。
 結果、40万人→20万人以下に従業員が減った。

 ”ここからが大事!”単なる【目的合理】ではない。【価値合理】を感じる。
 これは文字通りRestructuringを目指したもの。日本語流の単なる人減らしとは違う。
 (ニュアンス含めて、誤訳が多い。)
 その証拠として、ウェルチは、スキーマチェンジのために1万人が受講可能な研修設備を作った。

 人に対して莫大な投資をしたのだ。それも小手先のトレーニングなどではない、本質的な部分に。
 (研修内容事例;ゴムボートで急流下り体験セミナー。チームワークの大切さを自然に学ぶ。)

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【で、価値ってなんだろうか。。。】

真のマーケティングは、マークス&スペンサーが始めたやり方、すなわち顧客の人口構造、
現実、ニーズ、価値からスタートする。「我々は何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買い
たいか」と問う。「これが我々の製品やサービスができることだ」ではなく、「これらが顧客が
探し、価値を見出し、求めている満足である」という。[18]

このようにドラッカーは価値とは相手(顧客、ユーザー)が見出すコトである、ということを見抜き、
的確に言い当てている。たとえば、現在「価値創造」というコトバが重視されているが、我々は価値そ
のモノを創造することはできない。価値とは顧客が見出すコトである。したがって正確にいえば、相手
(顧客)に価値を見出してもらえる可能性が高いと考えられる物やサービスを創造することしかできな
いのである。だからこそドラッカーは「事業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造であ
る」[17] と明言した。


西條先生曰く、「.ピーター・ドラッカー(Drucker, P. F.)は――哲学的というよりは直観的洞察によって――この問いを考える上で有用な示唆となる本質的洞察を残している。」そうだ。

「「価値とは何か」について意味のある言及をすることは、哲学者にとっても非常に難解なことなのである。」だそうだ。ドラッガーはやはり凄い。と改めて感じると同時に、「価値合理」ということを考えることがちょっと難解になりそうだ。[16]

とはいえ、実践するには実践するために考え方を具体化、落とし込む必要がある。前述のような。「我々は何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」と問う。というのは顧客視点。Marketingの4C的なアプローチ。しかしながら、4Cのままでは企業はモノ、サービスを形に出来ない。一旦4Cで考えたものをMarketingの4P(Product,Price,Place.Promotion)に落とし込まなくてはならない。なにやら矛盾のようだた、これが現実だ。

港南実学研究所 実践マーケティング勉強会 第1回 マーケティングの本質.jpg

インサイトの桶谷功さんと枝川義邦先生の言葉を思い出した。

「右脳(直感)だけ、左脳(論理)だけで考えることはない。行き来する。させるものだ」
実際ビジネスの形に具体化する際は論理的になっていないといけない。しかし、お客様の気持ちを知るには
多少の遊び心がないと判らない。

ってことは、目的合理と価値合理も行き来しながら照らし合わせることが必要なんじゃないかなと何となくではあるが思うようになり始めている。目的を考えて、人間として正しいか?正しいことをしているか。と問うてみる。はたまた、正しいと思うことを、目的にあっているか。繋がるか。と問い直してみる。そういうことなのかもしれない。

港南実学研究所 実践マーケティング勉強会 第21回 ニューロマーケティング  .jpg

最後に、【価値合理】主義を感じたスポーツ選手。桑田真澄さんです。

港南実学研究所 実践マーケティング勉強会 第20回 企業戦略2 .jpg






[16]西條剛央(2011)構造構成的組織行動論の構想 ― 人はなぜ不合理な行動をするのか? ―p.4

[17] Druker, P. F. (2006) The practice of management. Harper & Row, Publisher, Inc. New York, U.S.A. p.37
[18] Druker, P. F. with Maciariello J. A. (1993) Manegement : Tasks-responsibilities-practices (Revised Edition)

ではでは。


心の野球―超効率的努力のススメ

心の野球―超効率的努力のススメ

  • 作者: 桑田 真澄
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/06
  • メディア: 単行本



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