マーケティング・ドリブン・ビジネス・デザイン ”クリエイティブなビジネス生態系の設計”  森祐治 [講演会・セミナー]

今日も電通・電通コンサルティングによるセミナーから。マーケティング・ドリブン・ビジネス・デザイ(MDBD)。森祐治さんのパート”クリエイティブなビジネス生態系の設計” を紹介する。

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日本企業の大半が直面している状況を表したのが下図の波線部分だ。A案(ハイリスク&ハイリターン)とB案(ローリスク&ローリターン)の間で揺れ動き、決めない。決められない。そうこうしている間に外国企業(米国や韓国など)にドカッと先手を打たれて後の祭り。それの連続と言っても過言ではない。もどかしい限りだ。
で、この話は終わらない。これが掴みなのだ。実は、ローリスク&ハイリターンのC案というのがあるのではないか。単純に考えるとそんなもん無い。になるのだが、立場が異なる人、違うビジネスモデルを取り入れることでローリスク&ハイリターンも実現可能だ。高いリスクをとらないと、大きな見返りはないという制約条件などそもそもない。というのが森さんのこでの主張。

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事例① Yahoo BB
皆さんも記憶されていると思うが、インターネットプロバイダーYahooBBが登場したときの大プロモーション、とにかく異様だった。駅前でYahooの手提げ袋渡されて、モデム入ってます。すぐにインターネットできます。機材はタダですよ。と配りまくっていたの。あれ、一見ハイリスク&ハイリターンのように見えますが、実はそうじゃない。

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いくら規模が命のインフラ提供ビジネスといえども、ただでバカスカモデムを配りまくるなんてやって大丈夫かい。ってのが大方みんな思うところ。それだけみれば、たしかにHigh Risk & High Returnに見える。ただ、裏でのお金のやりかたおよび、それに関与した人たちからするとまったくごく普通のビジネスの営みでしかない。というのだ。
ポイントは、関与しているメンバーだ。SPCといういわゆるペーパーカンパニーをかませることで投資したお金の回収は確実に出来る。SPCは、商品を証券化することで無数の投資家からお金を集めることが出来る。ファイナンスを司るひとからすれば、ハイリスクでもなんでもないごく普通のレベルのリスク投資案件でしかない。
通常は、(この図でいうYahooBBに相当する企業が、魅力的だが、わかっちゃいるがいまの状況ではリスクは取れない。で終わってしまうところ、門外漢を巻き込むことで、リスクが無いかのような状況を作れる。というもの。)
こういうことに疎い僕にとっては、ほ~っ。と思う事しかり。世の中の仕組みをもう少し勉強せねばなるまい。
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事例②
GEの航空機エンジンビジネス。
あまり知られていないようだが、航空機エンジンを作っているのは、数社しかない。GEとRolls=Royceそして、Prat&Whitneyだ。(なんとなく、USのBoaingは、GEのエンジンを積み、ヨーロッパのAirbusは、Rolls-Royceなのかな。ぐらいにおもっていたがもう少し複雑なようだ)

このチャートは、Before&Afterを示している。
GEも以前は、他社同様 自社エンジンの供給(販売)とパーツ供給、およびメンテナンスというごく当たり前のビジネスを行っていたが、カバーするサービス範囲を拡張すると同時に、他社エンジンのパーツやメンテナンスまで供給するようになった。というのが現状。

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以前、別の講演会(慶応MCCの夕学:2009年10月16日)にてボスコン日本代表の御立 尚資 ( みたち たかし )からもこの話を聞いたのを思い出した。下記は、慶應MCCのホームページ受講生レポートからの抜粋。

「GE(ゼネラル・エレクトリック社)」の航空機エンジンビジネス 航空機業界は、エンジン1基が日本円で数十億円もする大規模なビジネス。従来は売り切り型の販売方法だったが、GEはリース契約による販売に切り替えた。しかも、実際に稼動している時間に対してのみの課金であり、故障中などの期間は課金対象にならないという契約。この新しい仕組みは、航空会社にとって大変都合の良いものであり、当該市場において大きくシェアを伸ばすことに成功。このリース契約には故障した場合の補修は必ずGEが請け負うという条件があった。自社で補修を請け負うことで、どこが壊れやすいかといったエンジンの問題点が情報として入ってくる。これを次世代エンジンの開発に反映というしくみ。また、特定の部品はある程度使用すると故障の原因になりやすいといったこともわかるので、先手を打って早めに部品を交換するといったことができるようになった。こうして、GEのエンジンはますます壊れにくくなり、稼働時間が増えてリース収入も伸びるという良循環につながったわけだ。提供する仕組みを変えることにより、航空機エンジンはGEにとって儲かるビジネスへと変革できた。という話だ。

このGEの航空機エンジンビジネス話を冷静に見つめると先に、恩蔵先生が紹介してくれた日立製作所のHDRIVEと似ている。というかもしかしたら、日立は、このGEのビジネスモデルをヒントにHDRIVEをはじめたのではないだろうか。(逆かもしれない。)いずれにしても良く似たビジネスモデルであることは間違いない。

結果、GEは航空機エンジンビジネスでのマーケットシェアは高く、収益性面でも抜群の結果を出している。
(出所は、同じく御立さんの講演から。Data Sourceは書きとめなかったな~。残念)
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事例③
家電業界の元気印 Samsung

Samsungの場合は、国単位で相乗効果を出しながらビジネスを進めてきた。というもの。参加メンバーは、Samsung以外には、韓国のTV局&制作会社、そして韓国政府。韓流ブームをTVドラマで起こし、観光キャンペーンを政府が後ろ盾して(ドラマの中に韓国の名所を入れたり、Samsungの製品を露出させたり)つくったドラマをドラマ単体で売るのではなく、広告も込みこみで売り込むというものだ。全方位網でASEANマーケットは完全に攻略されてしまったというのが結果だ。国のイメージ、ブランドイメージ、いろんなものを一気に塗り替えていった例。リスクも糞もない。とすら思ってしまう徹底的かつダイナミックな韓国のやりかたには、脱帽。(実は、昔日本がやった事だとも言えるがそれが出来なくなっているのが悔しい。なぜなのか、よく考えたい。)

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事例④
APPLE Inc.

スティーブジョブス復帰後のアップルの商品展開年表があれば良く分かる。一旦成功を収めてもまったくそこで手をとめることなく、矢継ぎ早にたたみかけるかのように新商品、新規サービスを投入し続けている。ある種の自己否定までもやりながら。既存の商品の否定、ある種のリスクであることは確かだが現状に縛られるほうがよほど危ない。成功した企業がその過去の体験にしばられて変革出来ないということが多々ある。イノベーションのジレンマと表現するひともいるが、今のアップルにはそれが無縁だ。
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悔しい半面、ファンとしてはもうしばらく、Steve JobsとJonathan Ive(ジョナサン アイブ)の活躍を見たい。と思っている。

ではでは。
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