カスタマーエクイティ改善のための仕掛け。キヤノン [店頭]

今日、品川にあるキヤノンショウルームに行ってきた。娘と行ってきた。これが味噌。品川駅のエキマエ水族館の帰りに思いつきで寄ったのだが収穫は大きかった。

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一等はじめに、館内に入ったときに娘が言った言葉。「いい匂い。」何度も訪問したことがある品川小ルームだが言われてみてハッと気づいた言葉だった。そういわれてみればそうだ。心地いい匂いなのだ。なんだろうこの落ち着いた香りというか。上品というか。あれは意識的に付けなくては出ない香り。俗にいう、5感に訴えるマーケティングの一環だろう。(これは間違いがない。疑う方は自分の鼻で確かめてほしい。)5感のうちでも実は、深層心理に訴える感覚として嗅覚はポジションが高い。以前も触れたかもしれないが、シンガポール航空のフライトアテンダントが付けている香水は、特注もの。シンガポール航空がブランディングの一環として行っている活動の一つらしい。(数えきれないほど100階以上シンガポール航空の飛行機に乗ったがこの匂いがそれだ!と実感したことは無いが、サブリミナル的に刷り込まれている可能性がある。そう思うと恐ろしい手法だ。それだけではないが、僕自身もシンガポール航空には良い印象を持っている。)

もう一つは、ターゲットカスタマーを明確にした仕掛けの数々。

ビデオカメラ所有の高齢の男性が使い方に関してコンサルティングを受けているところを見かけた。男性はカメラ以外にも取扱説明書を持ち込まれている様子で熱心に質問されていた。単なるショールームかとおもったがこういうOne-To-Oneコンサルテーションを柔軟にこなしている様子にも好感がもてた。あくまで主観だが、館内のスタッフ(全員若い魅力的な女性)は、カメラ およびIT関連のリテラシーがそんなに高いとは思えないが、接客姿勢はかなりレベルが高い印象だ。分からない事でも解決しようと一緒になってとことん調べようとしてくれる。最低限の解決策は提示してくれる。これは好印象をうむ。当然、質問している人の質問の目的は、問題解決、疑問解消だがブスッとした態度でもしくは上から目線で答えられるより一生懸命な姿勢を高く評価する人のほうが多かったりするものだ。

ターゲット顧客の一つをファミリーとくに母子(おやこ)としているのが良くわかる。入り口付近に小さな子供が喜ぶプレイスペースがある。積極的な我が娘などは、早速とばかり靴を脱いで遊び始めるしまつ。そういう雰囲気作りが出来ている。
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そしてそのスペースは、撮影スペースでもあるのだ。店内のカメラを借りて試し取りするもよし、持参のカメラで撮影するのも当然OKだ。僕も当日は、EOS X4(Lレンズ装着)だったので堂々と写真を撮りまくった。娘の楽しんでいる自然な写真も多数とれて満足なひと時。

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で、女性スタッフに声をかけられた。「よろしければこういうマグネットとかカレンダーが作れますよ。よろしければ。」なるほど、そういえば色々作って楽しめる工房要素も取り込んでいるのがここの特徴。デジカメで撮影したものをプリンター使って印刷、その印刷方法のバリエーションを楽しんでもらうような仕掛けが無数ある。(これは、製品宣伝の要素と、もっと製品を活用してもらいたいという仕掛けとしての狙いが込められている。料理用具(電子レンジ、特殊鍋など)や調味料の会社が料理番組や料理本をせっせと作るのに似ている。いくら道具を買ってもらっても十分に使い込んでもらえないと次にまた製品を買おうと思ってもらえない。そういうリテンションを誘発させるプログラムであるというのが理解だ。)
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狙いが狙いなので、あくまでお客様に体験してもらうことを大事にしている。撮影、プリント、そして加工(今回の場合はプリントしたものをハサミで切って、マグネットケースにいれる。)をお客様にやって頂く事を徹底している。スタッフはあくまでアドバイスのみ。手を下さないようにしている。多少お客様が手こずってもなんとか完成するようにアドバイスし続けるのだ。代わりに遣りましょうかは無かった。なるほどだ。
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敢えて、持参のカメラではなく新製品 IXY31で撮影させてもらい作業をさせてもらった。(製品に関してのコメントはここでは控えておく。)出来上がったマグネットは、こんな感じ。娘もハッピー当然それを観る親も大ハッピーだった。

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どれだけのお客様が訪問されるか分からない(そんなに多くない筈)だが、体験したお客様が好印象をもってさらに口コミに繋がる。そういうレベルの活動になっていると感じた。(現にそういうブログ記事を僕がいま書いているわけだ。)リアルな口コミもそうだが、こういいうオンライン上での口コミ情報が効力を表す時代には、社員、スタッフそのものがメディアとしての役割を今まで以上に担うことになる。こういう優れたダイレクトタッチポイント(顧客との直接接点)を幾つも持つことがその企業のブランド価値、さらにはカスタマーエクイティ(顧客資産)の創造に繋がると信じている。それだけにキヤノンの凄さを感じるのだ。眼に見えやすい経営指数のみで算出したROI的にはNGのショールームだろうが「風が吹いたら桶谷がもうかる」的にしか説明のつかないカスタマーエクイティ(顧客資産)要素で上手に評価出来れば合格。そういう施策の一つだと思う。そういう経営判断が出来るか否かがこれから益々重要になるだろう。

ではでは。


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