インテリジェンスとは、こういう事です。佐藤優 [講演会・セミナー]

流石、慶應です。この日11月24日(水)は、怪物”佐藤優さん”が演台に上られました。”抜群にあたまが切れる。化け物!”そいう印象を受け続けた2時間でした。

佐藤優.jpg

覚えている範囲で、内容を掻い摘むとこんな感じでした。
メモ魔の僕ですが、この日は佐藤さんの凄いスピードかつ迫力の講義を追いかけ切れなかったです。

①言い訳
②偏差値秀才に問題あり。
③民主党と自民党との違い。
④真理は、具体的
⑤改善


①言い訳
佐藤さんが講演のためのプレゼンテーション資料を一切作らない理由を言い訳(?)してくれました。
ひとつには、佐藤さん自身が情報員だったことが大きな理由だそうです。外交活動をしていて綺麗なレジュメをくれる国なんて米国ぐらいなもの。そんなものを使わずに意見交換するだけ。メモは取らせてくれても紙はくれない。それが外交活動。サウジアラビアはさらに厳しい。メモを取らせてくれないそうです。ちなみにサウジアラビア人の記憶力は抜群に良いそうです。背景には、コーランをみんな記憶するなどの基礎訓練が出来ているからだとか。佐藤さんが担当されていたロシアに関しても、メモなんてあからさまにとったら急に口が堅くなって情報がとれなくなるそうです。頭の中にないもの、情報は要を足さない。機能しない。というのが外交活動だそうです。
レジュメやブリーフィングがあるような話は、記憶されない。だから意図的に資料を用意しないそうです。

その代わりに話を”立体的にする。”ことを心がけているとのこと。聞いている人がビジュアルにイメージできるように話す。ということのようです。
そのヒントは、講談師だそうで、講談師の方からアドバイスをもらったりもしている。講談師の話方は、落語とは決定的に違うとも仰ってました。同じ話を15分から1時間半に伸縮自在にあやつる。講談師ならではの技のようなものとのことでした。(なるほど。おもしろ。)

②偏差値秀才に問題あり。
国家試験(司法試験、司法書士、行政書士、弁理士、公認会計士など)で本質的な頭の良さは測れないというのが持論。
学生の学力レベルも嘆きたくなるレベル。年号試験をやったら慶応大学(4年生)で平均4.5点。早稲田大学(3年生)で5点。100点満点中でですよ。(ちなみに早稲田のほうが慶應より上ってわけじゃなくて、早稲田のほうは、3年生対象にやったから受験勉強の記憶が慶應の4年生より多少のこっていただけ。とのこと。ちょとしたジョークですね。)ここでのポイントは、高校で学んだことが大学で生かせるような仕組みになっていない。インテリジェンスのある教育の仕組みになっていない。という話。
大学祭などで講演をたのまれるが、テーマを見て出るかどうかを決めているそうです。”大学生、大学はなにをすべきか?”なんてテーマをみたら絶対に断るそうです。そんな演題が成り立つのは、日本と韓国だけ。大学に入るのに理由をもっていない。嫌いなことを学んだって定着するはずが無い。学ぶ上では、動機づけが物凄く大事。偏差値からはいるからダメなんだ。と。(多少飛躍するが)偏差値を否定するのは、思いやりや、信頼などは数値化されない。偏差値で選ばれた人は、人の気持ちが分からない。その代表が官僚。という指摘です。

③民主党と自民党との違い。その象徴としての”事業仕分け”
エリートとしての自負を持っている。国民は、無知無能だと考えている。政治家もその無知無能な人たちが選んだものに過ぎない。という考え方を根底に持っている。
官僚の実務を実際動かしているのは、課長。具体的な活動をつかさどっているのは、40歳前半から50歳までの課長。そういう実務レベルの階層には、クビを突っ込まなかったのが自民党。
民主党のほうが、偏差値をくらべれば2、3高い筈。加えて官僚出身の議員も多いため、自分でも出来る、自分のほうがうまく出来る。とおもうから”事業仕分け”なんてやってしまうわけです。(ほっほ~、これもなるほどね。)

官僚は、だれに対して忠誠心があるか。政治家じゃない。官僚は、官僚自身にのみ忠誠している。このシステムに限界が来ている。というのが現在の日本だと考えると良い。

小泉純一郎は、それが直感的に分かっていた。事業仕分けは、小泉の真似事です。(真似事ということは、やはり違うということを示唆していますね。)

・自民党は、官僚と棲み分け。
・民主党は、官僚を完全にコントロールしようとしている。
(菅直人も仙谷もマックスウェーバーを理解していない。)

(ただ、民主党の擁護も。)自民党は、なにも外交政策をしなかった。民主党はなにかを変えようとしているからいろいろ起こっているんだと。そういう面は好意的に見ている。と。

④真理は具体的。(北朝鮮と韓国との間での出来事。)
確かに今回の北朝鮮の動きは、民間人を狙ったことで一線を超えている。アメリカを引っ張り出すため。深層心理のなかで「北朝鮮は、本当に戦争になるとおもっている。」
処方箋は、唯一つ。「力には力しかない。」日本は、日米同盟に基づいて徹底的に対抗すべき。北朝鮮の頭のなかに自衛隊を入れさせることが鍵となる。

時代は、帝国主義に戻っているという認識をすべき。中国をはじめ各国が自国の利益のみを主張している。そういう時代。ニュートン力学に置き換えてみれば国際政治は見えてくる。

■日本外務省のロシア語の力が弱まっている?
佐藤氏によると、公開情報(テレビ、ラジオ、新聞の類い)に実は秘密情報とされている情報の90〜95%が埋もれている。とのこと。言葉の意味を細かくひろっていくと真意が見えてくるとか。読み解き方を知っていれば分かる。そのためにはその言語をシッカリマスターしている必要がある。いまの外務省はそれが出来ていない。というのが佐藤氏の主張。

(10月30日の佐藤氏のホームページでもロシアが動くことを予想していたことを記していたそうです。ちなみに国のトップが動く時は、ジャンボ機をかならず二機飛ばすそうです。(一台はバックアップ)今回も二機とばしていたそうです。大統領、首相が動くときは必ず2機。)

■北朝鮮は、ミイラが動かしている国?
金日成の力、影響力は絶大。彼の言葉は、神の言葉。象徴的なのが金日成著作集。いつのまにか82巻まで出版。8巻→44巻→82巻。レストランでの味付けに関してまでも言及していてそれが国全体に影響力を持っているとのこと。(レストランの味が落ちている。唐辛子で味付けをしているボラ。あれは胡椒で味付けするべき。そのときは、必ず胡椒を布にいれてやることが大切。など。。)

■北朝鮮のエリートの意識は、朝鮮戦争の時と同じ。
アメリカからの挑発に対してはねのける。ということが必要だと無意識に思っている。今回は、韓国が挑発してきたと北朝鮮は見ていている。これは朝鮮戦争の時と同じ。これを放置しておくと危険。入り口で封じ込める必要がある。
自衛隊がいざとなったら動くと認識させること。自衛隊を北朝鮮の頭に入れさせることが必要。

■ロシアは、北方領土の脱日本化を計っている。
(日本依存からロシア依存型に生活をかえて脱日本をすすめて日本への返還をなくすのが狙い。)
2007年〜10年は、エネルギー&IT改革。(今までは、日本の放送を見ていた住民に対してロシア
          の放送をみるようにチャンネル数を増やしたりしているそうです。地熱開発も
          進めているとか。)
2011年〜15年は、観光とレアメタルの開発。
という計画だとか。こういうことを進めながら事実上のロシア化、脱日本を進めているのがロシアの政策。(日本は、無策なんだろうか。無策っぽいな。。。)

■前原氏には、それが見えている。
APECの時の会談も2時間やった。これは異例の長さだそうで、北方領土の件も繰り返しやった。彼にはロシアのやり口とかがよく見えている。問題は、各種情報を役人が彼にちゃんとインプットしていないことだ。(前原氏には、好意的。)

■エリート層に教養が欠けている。
研修教官をやっていたので分かる。自身、実際モスクワ大学で教鞭をとっていたこともあるそうでこういう情報も入ってくるようです。外務省からの留学生がバンバン落第している。その大きな理由は、数学(線形代数、偏微分)、論理学、哲学史(過去の考え方の型をしらない。)これらの学問が習得出来ていないために就いて行けないそうです。モスクワ大学に限らず、ヨーロッパの大学オックスフォードやケンブリッジ大学などでは、こういうことを凄く重視するそうでそれに適合出来ないのが日本のエリート。(エリートですらそうなのですから、日本人の学問はいけていないということですね。)
その原因の一旦は、中学校教育だそうです。中学校の教科書が簡単過ぎて、逆に高校にしわ寄せが来ている。高校のカリキュラムで結局は全てをカバー出来ていないのが実情。(たしかに僕の通った高校などでは教科書最後までキッチリこなすことは無かったですね。半面、地元の名門高校などは教科書全てを2年生までに終了して3年は、受験対策に集中してました。僕の行った高校も入学時のレベルはそんなかわらないのですが卒業するときは大きく差がついてましたね。ちょっと脱線しました。そうかんがえると中高一貫校というのは、やはりこの課題解決にも繋がるような気がしますね。)加えて問題なのは、高校と大学の間のブリッジ。高校で一生懸命勉強したことが大学では忘れ去られたかのようになってしまう。高校で勉強した部分の復習みたいなのを継続的に大学でも取り入れば良い。(なるほど。それはある。いまの大学入試は各学生のポテンシャル測定。という側面ばかりでこの授業に就いて行くためにはこれだけの勉強をしてきてください。という意味合いになっていない。大学入試はそもそも、うちの学校の授業レベルに就いて行く為の準備がされていますか?それを確認します。という意味合いの筈。なんだか全てがチグハグな気がしますね。)

■外交官の語学力が落ちている。
外交官試験がなくなってから益々弱くなっている。英語力が弱い。(英語が出来ないものが他の外国語が出来るというのを見た事がない。)
外交官が通訳をつけるほど、語学力が落ちている。数学と日本語を強化してほしいと思う。とくに文系の人は数学、微分積分の原則を習得すること。(おすすめは、高専の数学(5年生向け)だそうです。)
日本語の強化には、出口 汪(でぐち ひろし)さん(東進ハイスクール)現代文。がおすすめだそうです。(僕も小論文強化のために勉強してみよっかな。)

■北方領土問題の実践的な解決方法は?
「先住民族決議を使う!」これを打ち出すのが良い。
 環境産業などを誘致してビジネスをやれるようにする。事実上の日本のプレゼンスを上げて行くのが 最良。(まさにロシアがやっていることですな。それを徹底的にやる。)

■総合的な教養を身につけなさい。
 実学だけを重視していると総合的な教養がつかない。神学、哲学などの教養を身につける事が大事。新島襄の持論だったが、この考えにいち早く反応したのが福沢諭吉。
オックスフォードやケンブリッジのようにチューター方式をとって本の読み方の指導をすべき。彼らは、自然と速読が身に付いてしまう位の本を読むそうです。
高校で身に付けた学力を維持することも大切。(たしかに、理工系の場合は高校時代に学んだこと、数学や物理などは大学でも継続的に活用するがそれ以外の科目に関してはブリッジが無い。。。)

■新聞は、エリート層の読むもの。
情報を得るには新聞を読む事。(読まない人が増えるとすると、その位置づけが益々高まるってことかな。)欧米エリート層で新約聖書を読んでいない人はいない。神とディベートしている人たちだからとにかく議論好き。(たしかに僕も以前ヨーロッパに住んだ事があるが、彼らは議論まずありきだったな。。。と懐かしく思った。)

とまあ、1時間30分の講演と30分の質疑応答。凄まじく速い回転で様々な事柄に関して語る様子は迫力以外の何者でもなかったです。このブログメモ書き込むのにも今回は相当苦労しました。ではでは。


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