一見正反対の事をやることが解決策になる。矛盾しているようだが実際ある。例えば、ラグジュアリー戦略の場合。 [書籍・雑誌]

 解決しなくてはならない事があったとする。一見当たり前の事を突き進めるのが良さそうに思えても、具体的な打ち手がない。そんな時には、”真逆?関係ないでしょ。”と思われる方法に一つの解があったりする。という話。を考察してみたいと思う。

 今となっては、事例が幾つもあがっているので新鮮味が薄れているかもしれないが敢えてラグジュアリーブランド戦略とエコロジー対策との親和性を例に思いを巡らせてみたい。

 ラグジュアリーブランドの顧客と言えば、それなりに裕福。こと日本、アジア等では、ラグジュアリーブランドの商品を背伸びをして購入する中間層も多い。(それでもそれ也に裕福である。)これ自体が戦略上の魅力にも繋がるのだが。
 彼らラグジュアリーブランドユーザーを喜ばせるには、一見ゴージャス仕上げられた商品が求められる、好まれると思っている。プラチナ、金、銀、などの貴金属を少しでも多く使うとか、ダイヤモンドなどの宝石をちりばめることで豪華さを演出することで、希少性を演出し、顧客、市場を魅了する。というのがラグジュアリーブランドが取りうる戦略だと一般的に理解されている。
 この見方は、正しくもあり正しくなかったりする。いわゆる両面を持っている。確かに豪華な装飾の品々は、もてはやされる。羨望の的である。一般人もセレブと称されるひとたちも好きである。ただ、これでは本質を正しく語られていないということに事に気づく。彼らの求めるものは、希少性だったり、自尊心をくすぐるような仕掛けだったり要素だったりする。それが本質であり、決して高価なことや豪華であることを求めている訳ではない。
 つまり、目的と手段との違いとして捉えられる。自尊心をくすぐるのが(それもさり気なく。如何にもそんなことは狙ってませんよという雰囲気を醸し出しながら)自尊心をくすぐらせる。それが目的。その手段と一つとして、豪華な商品を身にまとう。という手法があったりするが、その手法が、時代でも有効だとは限らない。最適な手段は、時代によって変わわるものである。つまり自尊心をくすぐる尊敬、敬意の念を皆が抱く要件が、時代時代でが変わる。と考えるからである。
 大半の人々が貧しく、ただただ贅沢な暮らしが珍しく(希少性)があり憧れられていた時代。さらには、贅沢が権力の象徴だったり、華美な演出そのものが権力を守るための手段だった時代すらある。そういう時代は、とにかく豪勢な品物やサービスがラグジュアリーとして魅力を放っていた。
ところが、ある程度大衆が裕福になり、さらには社会的な仕組みが自由化されると豪華な品々そのものに手が届き易くなり一般的なものに近づく。そうなるとラグジュアリーブランドの顧客である人たちにとって豪華であることに価値がなくなる。繰り返しになるが、もちろん、当人たちは豪華であるかどうかという基軸で物事を判断しているわけではなく、無意識のうちにシックリとくる選択をしている(Customer Insight)と思われる。潜在意識の中でありたい自分に近づけるための決定をしている。それがある時期までは、高価なものを選択させていたということだと思う。彼らは、平均化されることを嫌う。なぜならばそれが敬意を集める手法になるからだ。
 世の中の関心事、そして誰よりもそれに先んじた行動がとれていること。理解している。と見える事。が彼らのInsightに深く突き刺さる。今の時代であれば、エコ(環境問題)への配慮や行動がそのひとつである。だれよりも環境に配慮した選択、行動を取っていることがGlobal Big Issuesに対して積極的に対応している。と手応えを得ることが出来て、かつ他人からみても敬意を憶えさせる。という案件だからだ。自尊心をくすぐるという表現がしっくりと来ない人のために”手応え”を感じる。と敢えて置き換えてみた。人は、手応えを感じるために生きている。とも言われるがラグジュアリーを好む層は、より手応えレベルの高いものを探し求めている感度の高い層だ。とも表現できそうだ。

 また、ラグジュアリーの特性を考えたとき、ラグジュアリーは比較級(他と比べられるものであってはならない。)最高無比でなくてはならない。つまりやるのであれば、際立っていないといけない。という特性がある。自尊心をくするぐる、人一倍手応えを感じる、そしてヒーロになりたい人たち。勿論、露骨にその感情はみせないが。そう人には極端に振ったアプローチこそがフィットすると言える。
 つまり、浪費、過剰、蓄財、見せびらかし、人の目を引くことへの支出
 その正反対に位置する、
 品質、長持ち、「使い捨てない」、ラグジュアリー製品への長期投資 などは、ラグジュアリーという観点で見ると酷似している。
 そして一見”悪”と思えることが”善”に繋がる。ことが多々起こりえる。毛皮や、高級皮革製品、キャビアへの欲望は、自然破壊行為に見える。が、実際は、ミンクやクロコダイルやダチョウやチョウザメを繁殖させるという仕事を作り出すことになる。
 また、ラグジュアリーが浪費、過剰に魅力を感じているかのような時代から環境配慮の時代になった現代のような場合は環境配慮に積極的にMovementは向かう。つまり、時代の関心事に積極的に取り組むことで自尊心をくすぐり、手応えのある時間を手に入れることが出来るからだ。ならば、全世界的に共通な課題である環境配慮の動きの尖兵としてラグジュアリーブランドを活用する。もしくは、ラグジュアリーブランドの立場で言うと、環境配慮を全面に打ち出すことで他の人々よりも一歩先を行っている際立っている存在であることを体感してもらう。という考えである。チャリティープログラムへのブランドの関与や、その活動に顧客が参加していると思える施策が有効であろう。コーズド・リレーテッドマーケティングとは違う時限での環境配慮のための共創型のアプローチこそがラグジュアリーブランドとって有効だと考える。

■実際の打ち手としての事例
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「ブルガリ セーブ・ザ・チルドレン」リング
ラグジュアリーブランド、ブルガリ(BVLGARI)は、ブランド創立125周年記念事業の一環として、教育支援のグローバルキャンペーン「Rewrite the Future 〜いっしょに描こう!子どもの未来〜」に年間を通してサポート。多くのセレブのサポートもあり寄附は総額9百万ドル(約8億3,700万円;2009年12月時点)にのぼり、紛争地域の1,000万人以上の子どもたちの教育の質の向上に貢献しました。(文章は、BVLGALIのHPより抜粋。写真は島田自身が撮影したもの)

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セーブザチルドレンのアイコンが次モデルでは、赤になったそうだ。(この写真は、HPより抜粋。)

こういう発想も持てるようになりたい。一見”悪”と思えることが”善”を推し進めることに繋がる。柔軟な発想と広い知見があってこそ可能。
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■メッセージの発信方法に関してのヒント
 環境問題対応という点を鑑みるとやはり、知性というものを感じさせる演出が書かせない。が、同時に露出度、注目度を引くための華やかさも必要。事例を見て行くと国毎の事情、背景によって有効な手法は異なりそうだ。
 
 王室などが現存する国(英国)などでは、王室御用達などのような権威を活用することで露出度、威厳を演出できる。

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例:ロイヤルワラント(英国王室御用達)のホメオパシー薬局
「ホメオパシー(同種療法)」 たとえば、発熱などの症状がある場合に、同じような症状を引き起こす植物や鉱物などを極限まで薄め、それを乳糖玉にコーティングした“レメディ”を摂取することで、身体が本来持つ抵抗力を引き出すという自然療法。
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 王室が無い米国のような国では、たとえば、時代を超えて世界の女性達に影響を与え続けるジャクリーン・ケネディ(故ジョン・F・ケネディ大統領夫人)のように、皇室の存在しないアメリカでは、時にハリウッドセレブ以上の注目を集めるのが政治家一族のカリスマ美女たち。を活用する。

例:知的なスーパーセレブとして今最も輝いているローレン・ブッシュ(Lauren Prince:)
  慈善家かつエコロジー戦士としても知られるローレンは、デザイナーとしてもその精神を発揮。
  目にも鮮やかなプリント・ドレスは、アフリカのコンゴの女性達を支援すべく、彼女達が手染め
  した生地を使用し、一躍セレブ達のリゾートウエアとして注目を集めることに。
  さらに収益の10%は女性支援団体「Women For Women International」に寄付されています。
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 ハリウッドセレブの中でエコロジーに理解が深い俳優、女優を活用するのも有効。好例がトヨタのプリウス。
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キャメロンディアスもプリウスに乗っている。
BBC放送の人気番組 Top Gearでの一幕。動画開始  8分のところで、キャメロンディアス本人が
プリウスに乗っていることを発言。司会者との間で愉快な会話になる。あくまでプリウスに関する会話は一部でしかなく、とにかく楽しいFootage。

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画面をクリックしても動画が始まらないときは、このURLをクリック。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm11572002

これが観れます。
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それ以外にも
レオナルド・デカプリオ
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オーランド・ブルーム
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ダスティン・ホフマン
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ジュリア・ロバーツ
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また、環境対応に対しての積極性が高い国(米国、英国など)では、スーパーリッチの存在が大きいと思う。これは、マズローの欲求の5段階を使って説明できそうだ。
(ラグジュアリーと環境対応との親和性が高い理由の一つとして捉える事もできそうである。)
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ではでは。



ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか

ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか

  • 作者: ジャン=ノエル カプフェレ
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2011/01/28
  • メディア: 単行本



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