LOG撮影ってなに?(その3)技術編 〜基礎①〜(ガンマ、ガンマカーブとは) [動画撮影]
ここ数回に渡ってテーマにしているビデオカメラ映像記録における『LOG記録ってなに?』だが、この辺りで技術面での考察を始めて見ようと思う。
この『LOG記録』一般的な用語というよりも映像業界の専門用語。
確たる文献が揃っている訳ではなく、各メーカー関係者が記事にしたネット記事や、一部メーカーが解説している記事を読みながら学ぶしかない代物である。
また、厳密性を重んじると難解な表現になり、反面、噛み砕こうとして抽象的な表現をすると
厳密性を失い、所々で理解に矛盾を生じさせてしまう可能性をはらむ。
ここでは、この厳密性と抽象性を出来るだけ両立させる努力をしながら自分なりの理解で
『LOG記録とは何か?』をひも解いてみたい。
■はじめに
もっとも『LOG撮影』の特徴をあらわしている表現をあげておきたい。
①『LOG撮影とは、限られたデーター数でより効率的に映像表現するためのデジタル映像信号処理
技術のひとつである。』
②『LOG撮影は、”映画の映像”のように 映像制作者の画作り、表現の幅を広げてくれる。その為の手法の一つである。』
③『LOG撮影は、”映像(表現)出力デバイス(モニター、プロジェクター、TVなど”の各種規格と ”映像撮影(入力)デバイス(カメラ)の特性との関係性をより理にかなったものに工夫しようとする方法である』
おそらく、これらの文を始めて見る人たちにとっては『???難解! さっぱりピントこない。。。』きわまりない。
という印象しか残らないだろう。
だが、順を追って説明を聞いて行くといかにこの一文が『LOG記録』の特徴を捉えているかがわかるようになるはずである。それを目標に書き進めていくことにする。
グラフや数式などが時々出てくるので文科系の方がたには、ちょっと取っ付き難い面もあるだろうが、分かり易さと厳密性のバランスをとると説明もこうなる。
不慣れな用語もなるべく、平易に紹介していくように心がけるので
『LOG撮影ってなに?』というテーマに興味のある方は、是非参照してもらいたい。
ここからは、先に列挙した①、②、③を意識しながら解説をすすめていきたい。
ただし順不同。各々は、複雑に絡み合ったもの。独立した事象として分解出来るものではないからである。
③『LOG撮影は、”映像(表現)出力デバイス(モニター、プロジェクター、TVなど”の各種規格と ”映像撮影(入力)デバイス(カメラ)の特性との関係性をより理にかなったものに工夫しようとする方法である』
用語解説①Gamma (ガンマ)
映像機器に変わらず、広い意味で『Gamma (ガンマ)』とは、入力信号に対する出力信号の関係をあらわすものである。
つまり、映像機器において『ガンマ(カーブ)』とは、一般的に撮影時のデータと映像表示の信号との関係をあらわしている。
たとえば、下図で示している内容は
『TV(放送)の規格は、CRTの入出力特性(ガンマ特性)がベースになっている。ガンマ値が2.2に近い値である。
(既存の仕組み放送方式を踏襲するために、そして液晶モニターのTVであってももCRTのガンマ特性同等になるように設計してある)
式で表すと、
Output = Input^2.2
放送信号のガンマ特性は、その受像機側の特性を考慮してガンマ値が1/2.2 =0.45 をかけて電波を送ることでガンマ補正をしている。』
たしょうシツコくなるが、説明を繰り返すとこうなる。
HDTVの表示規格はITU-R.BT.709 である。ガンマ特性が規定してある。
それにマッチングするようにビデオカメラ側のガンマ特性(カーブ)が決まる事になる。
この規格(ルール)の範疇で(メーカー、機種によって味付けはあるので全て各々違ったガンマ特性)設計したテレビやビデオカメラが一般的に我々が目にする製品である。
よって、どのブランドの(一般ユーザー向け)ビデオカメラで撮影して、一般家庭に普及しているTVで表示しても大きく変わらない諧調表現や色再現で楽しめるようになっている。
これは、先に述べた、
②『LOG撮影は、”映画の映像”のように 映像制作者の画作り、表現の幅を広げてくれる。その為の手法の一つである。』の裏返しでもある。
映画のように1つ一つの作品、シーンによって印象的かつ特徴的な映像表現(諧調、色など)で作られているがそのような作品を作るのに一般ユーザーが使っているビデオカメラは、放送方式にちかいガンマ特性で設計してあるので映画などの撮影には向いていない。ということを意味しているのである。
そして今、LOG記録が可能なデジタルビデオカメラにおいては、
よりリッチな諧調表現を可能にするために、ワイドダイナミックレンジを活かしたカメラの設計をし、かつ画作り作業をしていくうえで広いダイナミックレンジを採用したカメラを扱い易いようにガンマカーブをメーカー毎に設計、提供しているのである。
また、これらの背景として存在するのが映画フィルムをデジタイズする技術としてKodakが開発したCineon Logがある。デジタルコピーであるCineonは、フィルムのガンマ特性に似た特性を持っている。このCineonを少なからず意識して各社のガンマ特性は設計されている。[6]
例:S-Log2 / S-Log3 ........................ Sony[4]
V log / V Log L...............................Panasonic[5]
Canon Log........................................Canon [7]
次回は、LOG撮影ってなに?(その3)技術編 〜基礎②〜(LOGと呼ぶ理由) にふれてみたいと思う。
ではでは。
[1]『LOGとは』(TVlogic HP 映像制作におけるLOG映像)
https://wonderlook.net/jp/technology/02log.php#start
[2][RAW side LOG side 〜Log撮影ビギナーズ]01:ダイナミックレンジを生かすLogの基礎知識(PRONEWS HP)
http://www.pronews.jp/special/1203211810.html
[3][RAW side LOG side 〜Log撮影ビギナーズ]04:RAWとLOGによる撮影 (PRONEWS HP)
http://www.pronews.jp/special/1203281515.html
[4]S-Gamut3.Cine/S-Log3 and S-Gamut3/S-Log3 テクニカルサマリーV1.0 (Sony)
https://www.sony.jp/cinealta/knowledge/pdf/TechnicalSummary_for_S-Gamut3Cine_S-Gamut3_S-Log3_V1_00%28J%29.pdf
[5]デジタル一眼カメラ「LUMIX DMC-GH4」に「V-Log L」機能を追加できる「アップグレードソフトウェアキー」発売 (パナソニックHP)
panasonic.jp/dc/g_series/gh4/v_log_l/
[6]『何故、CineonはLogと呼ばれるのか?』(キヤノンHP)
http://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/history/index.html
[7]『映像表現のひろがり』(キヤノンHP)
http://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/spread/index.html
この『LOG記録』一般的な用語というよりも映像業界の専門用語。
確たる文献が揃っている訳ではなく、各メーカー関係者が記事にしたネット記事や、一部メーカーが解説している記事を読みながら学ぶしかない代物である。
また、厳密性を重んじると難解な表現になり、反面、噛み砕こうとして抽象的な表現をすると
厳密性を失い、所々で理解に矛盾を生じさせてしまう可能性をはらむ。
ここでは、この厳密性と抽象性を出来るだけ両立させる努力をしながら自分なりの理解で
『LOG記録とは何か?』をひも解いてみたい。
■はじめに
もっとも『LOG撮影』の特徴をあらわしている表現をあげておきたい。
①『LOG撮影とは、限られたデーター数でより効率的に映像表現するためのデジタル映像信号処理
技術のひとつである。』
②『LOG撮影は、”映画の映像”のように 映像制作者の画作り、表現の幅を広げてくれる。その為の手法の一つである。』
③『LOG撮影は、”映像(表現)出力デバイス(モニター、プロジェクター、TVなど”の各種規格と ”映像撮影(入力)デバイス(カメラ)の特性との関係性をより理にかなったものに工夫しようとする方法である』
おそらく、これらの文を始めて見る人たちにとっては『???難解! さっぱりピントこない。。。』きわまりない。
という印象しか残らないだろう。
だが、順を追って説明を聞いて行くといかにこの一文が『LOG記録』の特徴を捉えているかがわかるようになるはずである。それを目標に書き進めていくことにする。
グラフや数式などが時々出てくるので文科系の方がたには、ちょっと取っ付き難い面もあるだろうが、分かり易さと厳密性のバランスをとると説明もこうなる。
不慣れな用語もなるべく、平易に紹介していくように心がけるので
『LOG撮影ってなに?』というテーマに興味のある方は、是非参照してもらいたい。
ここからは、先に列挙した①、②、③を意識しながら解説をすすめていきたい。
ただし順不同。各々は、複雑に絡み合ったもの。独立した事象として分解出来るものではないからである。
③『LOG撮影は、”映像(表現)出力デバイス(モニター、プロジェクター、TVなど”の各種規格と ”映像撮影(入力)デバイス(カメラ)の特性との関係性をより理にかなったものに工夫しようとする方法である』
用語解説①Gamma (ガンマ)
映像機器に変わらず、広い意味で『Gamma (ガンマ)』とは、入力信号に対する出力信号の関係をあらわすものである。
つまり、映像機器において『ガンマ(カーブ)』とは、一般的に撮影時のデータと映像表示の信号との関係をあらわしている。
たとえば、下図で示している内容は
『TV(放送)の規格は、CRTの入出力特性(ガンマ特性)がベースになっている。ガンマ値が2.2に近い値である。
(既存の仕組み放送方式を踏襲するために、そして液晶モニターのTVであってももCRTのガンマ特性同等になるように設計してある)
式で表すと、
Output = Input^2.2
放送信号のガンマ特性は、その受像機側の特性を考慮してガンマ値が1/2.2 =0.45 をかけて電波を送ることでガンマ補正をしている。』
たしょうシツコくなるが、説明を繰り返すとこうなる。
HDTVの表示規格はITU-R.BT.709 である。ガンマ特性が規定してある。
それにマッチングするようにビデオカメラ側のガンマ特性(カーブ)が決まる事になる。
この規格(ルール)の範疇で(メーカー、機種によって味付けはあるので全て各々違ったガンマ特性)設計したテレビやビデオカメラが一般的に我々が目にする製品である。
よって、どのブランドの(一般ユーザー向け)ビデオカメラで撮影して、一般家庭に普及しているTVで表示しても大きく変わらない諧調表現や色再現で楽しめるようになっている。
これは、先に述べた、
②『LOG撮影は、”映画の映像”のように 映像制作者の画作り、表現の幅を広げてくれる。その為の手法の一つである。』の裏返しでもある。
映画のように1つ一つの作品、シーンによって印象的かつ特徴的な映像表現(諧調、色など)で作られているがそのような作品を作るのに一般ユーザーが使っているビデオカメラは、放送方式にちかいガンマ特性で設計してあるので映画などの撮影には向いていない。ということを意味しているのである。
そして今、LOG記録が可能なデジタルビデオカメラにおいては、
よりリッチな諧調表現を可能にするために、ワイドダイナミックレンジを活かしたカメラの設計をし、かつ画作り作業をしていくうえで広いダイナミックレンジを採用したカメラを扱い易いようにガンマカーブをメーカー毎に設計、提供しているのである。
また、これらの背景として存在するのが映画フィルムをデジタイズする技術としてKodakが開発したCineon Logがある。デジタルコピーであるCineonは、フィルムのガンマ特性に似た特性を持っている。このCineonを少なからず意識して各社のガンマ特性は設計されている。[6]
例:S-Log2 / S-Log3 ........................ Sony[4]
V log / V Log L...............................Panasonic[5]
Canon Log........................................Canon [7]
次回は、LOG撮影ってなに?(その3)技術編 〜基礎②〜(LOGと呼ぶ理由) にふれてみたいと思う。
ではでは。
[1]『LOGとは』(TVlogic HP 映像制作におけるLOG映像)
https://wonderlook.net/jp/technology/02log.php#start
[2][RAW side LOG side 〜Log撮影ビギナーズ]01:ダイナミックレンジを生かすLogの基礎知識(PRONEWS HP)
http://www.pronews.jp/special/1203211810.html
[3][RAW side LOG side 〜Log撮影ビギナーズ]04:RAWとLOGによる撮影 (PRONEWS HP)
http://www.pronews.jp/special/1203281515.html
[4]S-Gamut3.Cine/S-Log3 and S-Gamut3/S-Log3 テクニカルサマリーV1.0 (Sony)
https://www.sony.jp/cinealta/knowledge/pdf/TechnicalSummary_for_S-Gamut3Cine_S-Gamut3_S-Log3_V1_00%28J%29.pdf
[5]デジタル一眼カメラ「LUMIX DMC-GH4」に「V-Log L」機能を追加できる「アップグレードソフトウェアキー」発売 (パナソニックHP)
panasonic.jp/dc/g_series/gh4/v_log_l/
[6]『何故、CineonはLogと呼ばれるのか?』(キヤノンHP)
http://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/history/index.html
[7]『映像表現のひろがり』(キヤノンHP)
http://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/spread/index.html
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