"失われた30年"にしないためには。(伊藤元重さん) [講演会・セミナー]

IBM主催のカンファレンス基調講演で伊藤元重さんの話を聞く事が出来ました。

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題名は、「日本経済活性化の条件」でしたが、もうちょっと生生しい言い方をすると、(10年後振り返ったときに)「失われた30年」にしないためには。というものです。
この題名そのもには、いままでの20年間、日本はアメリカを追い込んでいったら韓国などのFTA政策などに出し抜かれるな。もしくは、各企業が絶え間ない努力をしてきたにも関わらず、自分たちの努力を超えるところで大きな変革があって結果、失われた20年を過ごしてしまった。というメッセージに加えて、現在この閉塞感は、経済循環の話ではなく日本の構造上の問題。よって現状を打開するには、10年は必要だ。というものです。

必要な3つの眼(僕は、2つまでは知っていましたが、もう一つあるそうです。)
 マクロな眼(鳥の眼)
 ミクロな眼(虫の眼)(魔は細部に宿る。っていうでしょ。)
 潮の流れを読む眼(魚の眼)(経済の潮流を読まないと。ということで時間軸ですかね。)

日本の閉塞感は、経済循環ではなく構造上の問題。の論拠は、1992年から2010年現在までの18年間続いているデフレ。デフレギャップがこれだけ続いているのは、日本だけ。その背景には日本が内向きなことが大きく影響している。というもの。(実際、日本のように可処分所得の4倍ものお金を貯蓄している国はない。英国ですら3倍。)
日本の大企業は、利益があがっているのに投資せず、国債にまわしている。100兆円規模の”国債バブル”を招いている。結果、金融機関は低金利政策で儲かっていてお陰で政府もマネージ出来てしまっている。国滞留している。この状態であと5年やっていけてしまう。これがまさに問題!
じゃ、なぜ今円高か? アメリカの大胆な施策、ヨーロッパの不調、中国は、人民元を管理し続けている。要するに消去法で円に投資されているのが現状。これも半年は続くだろうが決死て好材料があるから起きていることではない。

では、今後日本を取り巻く環境はどのように変わっていくかというと潮目は、この3つ。
1.グローバル経済に巻き込まれていく。
2.国内産業は、一気に淘汰が進む。
3.顧客直結型のビジネスの台頭(ユーザーに近いところでないとチャンスが生まれない。)

◇先進国でおきていること。とくに日本で。
スマイルカーブをたとえて表現すると上流(材料、デバイス:Samsung,京セラなど)&下流(サービス:Google,Intelなど)は利益があがるし成長著しいが組み立て製造などの中間過程は、日本にとって厳しい状況にある。(右肩上がり成長の過程とことなり、今や中国やインドなどと同じことを日本がやっても上手くいくはずがない。)
要は、一人当たりGDPが日本の半分の韓国の技術力が半分以上の実力になったらこうなるのは自然のなりゆき。
実際、台湾企業FOXCOMが中国で55万人の従業員を使って他社完成品(VAIO,i-Pod,i-Pad, PSPなど)を大量に生産しているのを見るとそれが実感出来る。

じゃ、中国は?というと真ん中はもうかるけど、上流と下流で設けるしくみが出来ていないのが現状。20年前までの右肩上がりだった日本の状況に似ている。日本はいまだにその構造をそのまま残している。ということに問題がある。
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◇どうすれば良いのか。に関しては、下記のようなアクションが考えられる。
1.Global化を意識してその中でOnly Oneを目指す。
2.厳しいところで戦い抜く
3.下流にちかいところで顧客密着型のビジネスに移行する。
もちろん、この何れを選択するかは、各企業の選択である。と。

◇アジアの地図を今一度みてください!

たとえばGDPの変化。
10年前  日本No.1、中国は、その半分、韓国は、1/8程度。
現在   日本≒中国 、韓国は1/5
10年後は 中国No.1(日本の3倍にはなる。)インド、アセアン、日本、韓国の序列になる。

これをみても日本でというよりアジアで通用する製品・サービスを提供出来るビジネスをすることが鍵になる。ガラパゴスなんてのは無い。
例えば、ソニエリのXperiaが売れた売れたと騒いでいるが所詮50万台規模。インドで昨年一年で売れた携帯電話は、2億台といわれている。

◇他の先進国との比較。日本とドイツ。
日本は、GDPうち約15%を輸出、15%を輸入に頼っている。
ドイツは、輸出が30%で輸入が40%にも上る。
なぜこれが起こるか?→近くに英、仏などの大きい国が存在するから。

この法則を説明したのが1962年に、ヤン・ティンバーゲン (Jan Tinbergen) が最初に用いた”貿易における重力モデル”です。この法則が正しいとすると、アジア隣国が大きくなるにほんの輸出、輸入額は現在の2~3倍になることになる。

アジアを意識したビジネスの動きは、実際にはおきていて、味千(ラーメン)は中国に450店舗。吉野家も300店舗ある。
ユニクロなども600人を採用するがそのうちの3分の2は、アジア人。(日本人は、200人過ぎない。)ユニクロのなかで売れているものの一つはジーンズだが、980円(中国製)、3900円(日本製)と日本ブランドとしての戦略をとりながらGlobal戦略をくみたてている。(アジア人には、日本はブランド。3900円ならアジアの人も買える。こういう3900円のジーンズのようなビジネスモデルで戦う手もある。)

ラーメンがアジア諸国で受け入れられ始めている→麺製造機の需要が上がってきている。これもスマイルカーブの上流での出来事。

で、日本政府はどんなことをやってきたかというと苦しいところをゆっくりと対処療法してきた(エコポイントなどでやんわり需要をつくるなど。)市場に眼をおとすと、大田区の工場などはマンション化をしてしのいできた。とにかく日本は、ゆっったりと対処療法を繰り返してきたのがこの18年間。とにかく日本は、上流に行くか、下流に行くかしかないと腹をくくって進むしかない。

◇ビジネスモデルの重要性
マーケティング専門の友人によれば、マーケティングの観点からすると製品、ブランド、ビジネスモデルこの3つのバランスが重要らしい。i-Phoneを例にとると、製品力:ハードとしての卓越性(使いやすさ、デザインのよさ)、ビジネスモデル:いわずもがなのi-Tunesの仕組み。そしてブランド力:i-Phoneの前にi-Podでの成功によるブランド確立がなされている。

日本AV業界にはそれがかけている。Digital Walkmanがその例。製品はいい。ビジネスモデルが不在。ブランド:ネーミングそのものがノスタルジック。WalkmanにDigitalとつけたというのは
昔のアイドルに厚化粧をして登場させたようなもの。(実名は避けますね。伊藤さんはけっこうズバズバ発言されるかたで、実際はアイドルの名前だしてました。ひきつけるプレゼンテーションのノウハウではあるのですがちょっと意外でした。)
日本のブランドでビジネスモデルのユニークさを確保しているものにユニクロがあるともコメントされてました。

◇ビジネスモデルの構築において大切なこと。
まず、認識しなくていけないこととしては「我々は、天才ではない。」ということ。
答えを出すヒントとしては、5年前、10年前に無かったものを探すと良い。
1.グローバル化
2.IT
3.少子高齢化(医療、環境など)
4.政策制度

これら(5年前、10年まえに無いもの)をヒントに「失われた30年を回避しましょう。」というものでした。

わかりやすい講演会でしたね。会社休んでいった甲斐もあったというものです。

ではでは。
タグ:伊藤元重
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コメント 1

れもんサワー


目隠し+両手縛られておかされた!!!!!!!!
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10万くれたからOKしたんだけど、これメチャクチャ興奮するなw
次は足も縛ってくれって言ったらなんか笑われたよww
by れもんサワー (2010-11-21 01:26) 

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