統計学的見地で見た天才の生まれる土壌 [よもやま話]

元慶大監督の前田祐吉氏が「野球と私」(青蛙房)でビッグプレーが生まれる土壌を「瞬間的なひらめきをやってみる柔軟な発想と失敗を恐れぬ大胆さ」と書いている。これマリナーズから帰国した現在阪神タイガーズの城島のプレーを見て感心した新聞記者が思い出して記事の中で触れていた文章。凄いプレーをやってのける城島も凄いが、それを引き出す環境を与えている阪神も凄いといったところなんだろか。ちなみに、マリナーズでチームメートだったイチローに言わせると城島は大の練習嫌いらしい。天才と言われるイチローですら練習量、質ともに桁外れと聞く。城島のような選手を本当の天才というのだろうか。
まあ、個人的な選手の評価をしたくて書いているわけではないのでこの辺りにして本題に移りましょうか。以前、天才論に関して興味深い話を聞いたことがいまだに忘れられない。野球を例にとると、昔のプロ野球のような超天才は生まれにくくなっているのは、統計学的にせつめいするとこうなる。という話です。統計学上ばらつき、分布という観点で考えた時、平均的プレーヤーが増えると分布は、中央値(平均的な)プレーヤーが増えばらつきが抑えられてしまう。結果、全体の分布のばらつきは減り、飛びぬけたプレーヤー(天才)が少なくなるし、飛び抜け度が低くなってしまうというのだ。(たとえばプロ野球選手の実力が正規分布になっているとしよう、平均値をxとし、σをつかってバラつきを考えたとき、xそのものは高くなるが
σが小さい分布なので最大値付近の選手、レベルも突出したものにならなくなる。とくにスポーツは、現在プレーしてているプレーヤー間の相対的な力関係で各プレーヤーおよびチームの成績が出るので平均値があがっても個人の記録に変化は少ない。天才度を決めるのはやはり場tらつきσということになる。
近代化野球が進むとマシーンを使っての練習が可能となりスピードボールに対するバッティング練習も進歩する。あるレベルの選手なら剛速球にも対応可能になり、選手間の成績の差が以前ほどなくなるというのだ。選手の粒が小さくなったというが、それも統計学的に説明つくのではないかと思い興味を持った次第です。(ちなみに僕が好きなプレーヤーですが落合博満、現中日ドラゴンズ監督ですね。いろんな意味で天才だと思う。ある種努力の天才かもしれない。素敵だ!)
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で、ビジネスでの天才を考えた時は、どう説明がつくのだろうかと考えた。大企業においては、もしかして天才の生まれる土壌は無い。もしくは少ないのではとふと思った。というもの大企業の場合は、変なかたちでもまれたり、深い議論をつくしたりしながら考え方の均質化をはかる傾向が強い。たしかにそのようなやりとりをしていくことで平均的な考え方ややり方のレベルは上がるのだろうが突出した人、考えは出にくくなると思うのです。
集団と個人という違った視点で大きな集団(大企業)に関して考察してみたい。今日、たまたま視聴していたテレビ番組で言っていたのだが、集団の人数が多くなるほど、個人が発揮できる能力は下がり、決断の質が下がる実は集団で考えると、「社会的手抜き」という現象が生まれてしまう。重要な決定をするのは自分じゃないと他人任せにし、しかも失敗しても他人のせいに出来ると考えてしまうというもの。実験によると、集団で考えるより、一人で考える方がアイデアの質も量も上という結果になったとこのこと。あの三菱グループの創立者である岩崎弥太郎は、独断で物事をきめていたらしい。創業者だからともいえるが、独断が正しい結論を導き出すという考えも持ち合わせていたようだ。ただ、彼の場合は”滅私奉公””社会、日本国のためにどうしたらよいか。”という高い理念と理想のもと事に当たっていたと聞く。私利私欲の為の独断は、やがて独裁とは違い、公のためにどうあるかを高い視点で考えていたことが成功を生み出したとも言われている。
今の日本には、そういう大人物が育ちにくくなっていることがなによりも危機だと感じる。頑張れ日本。自分自身の考え方も大きなもの、中長期的な視点であることを目指し、努力していきたい。と切に感じた日だった。

折角のGWほとんど本が読めていない。以前から気になっていた「論語と算盤」でも読んでみるか。(かのドラッガーも渋沢栄一をかなり意識していたと聞く。これは、Must本かもしれませんよ。)


論語と算盤 (角川ソフィア文庫)

論語と算盤 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 渋沢 栄一
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2008/10/25
  • メディア: 文庫



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